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【国際】

技術のドイツ急降下 政府機不具合、昨年から8回

ドイツ・ケルンに緊急着陸し、政府専用機を降りる同国のメルケル首相(手前)=昨年11月29日、AP・共同

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 ドイツの政府専用機でトラブルが続いている。メルケル首相が二十カ国・地域(G20)首脳会合に遅刻した事態を含め、昨年から今月までに機体の不具合で予定変更を余儀なくされたのは計八回。独国内では技術大国の威信を失墜させるとの批判の声があがっている。六月に大阪で開催されるG20への出席は大丈夫か。 (ベルリン・近藤晶)

 「専用機、また不具合」。DPA通信は一日、今月から国連安全保障理事会の議長国となるドイツのマース外相が会合に遅れたと伝えた。専用機は米ニューヨークの空港に着陸したものの、ブレーキ故障の影響でタイヤ交換が必要に。マース氏は機内で一時間以上缶詰め状態になった。

 トラブルが起きた専用機は、西独初代首相コンラート・アデナウアーの名を冠したエアバスA340−300型機。メルケル氏が昨年十一月に南米アルゼンチンでのG20へ向かう途中に緊急着陸を余儀なくされたのと同じ機体だ。同機は四カ月の整備点検後、今回が最初のフライトだった。

 昨年十一月二十九日。メルケル氏とショルツ財務相らを乗せた専用機は午後七時にベルリンを離陸したが約一時間後、オランダ上空で無線通信が使用不能に。機長は衛星電話で管制官と交信しながら、独西部ケルンの空港に緊急着陸した。燃料も排出できず、重い機体のまま着陸し、消防も待機する事態だった。けが人はなかったが、メルケル氏は着陸後、「深刻な故障だった」と認めた。

 メルケル氏は翌日、短距離用専用機でスペイン・マドリードまで飛び、イベリア航空便でブエノスアイレスに到着。結局、G20の開幕には間に合わず、当初予定していた会談をキャンセルせざるを得なかった。

 長距離用専用機のA340は二機あり、今年二月にメルケル氏が訪日した際は、西独初代大統領テオドール・ホイスの名前が付けられた別の機体が使われた。

G20首脳会合に遅れて出席したドイツのメルケル首相(左)とトランプ米大統領(右)=昨年12月1日、G20広報提供(AP・共同)

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 独メディアによると、政府専用機は、短中距離用のA310やA319なども含め計十四機。運航を担当する空軍の報道官は「過去二年間、千六百回のフライトで欠航したのは十八回。欠航率は2%以下」と主張するが、昨年六月から立て続けに八回も故障に見舞われている。

 ショルツ氏とマース氏が二回、シュタインマイヤー大統領は三回もトラブルに巻き込まれた。今年一月にアフリカ外遊の日程変更を余儀なくされたミュラー経済協力開発相は「技術大国としてのドイツの評価を台無しにする」と厳しく批判した。

 A340二機は二〇一一年から専用機として使われているが、いずれも独ルフトハンザ航空から購入し、VIP用に改造した中古機。両機とも就役から二十年近くになる。フォンデアライエン国防相は「十分な整備をしても、老朽化の限界に直面することになる」と新機材購入を表明した。

 国防省は今後、長距離用にエアバス社からA350三機を購入する方針。ただ一機約一億八千万ユーロ(約二百二十五億円)で、専用機に必要な通信設備や会議室などの改装に約一億ユーロかかる。一機目の運用開始は二二年ごろの見通しだ。

 次善策として国防省は大統領や首相らを優先し、トラブルに備えて代替機を待機させたり、同行させたりする新たな運用ルールを導入した。そのため中南米歴訪がメキシコだけになり、民間機に変更せざるを得なくなったミュラー氏は「定期便での外国訪問は簡単ではなく、不可能な場合もある」と反発している。

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