東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

英離脱、10月末まで再延期 EU首脳会議「合意なし」回避

写真

 【ブリュッセル=沢田千秋、竹田佳彦】欧州連合(EU)の特別首脳会議は十一日未明(日本時間同日朝)、英国の離脱期限を十月三十一日まで再延期すると決定した。英政府とEUが交わした離脱合意案の英議会での承認を前提として六月末までの延期を求めていたメイ氏も同意。離脱期日だった十二日に、英EU双方に大混乱をもたらす合意なき離脱に陥る事態はひとまず回避された。

 延期に際し、EU側は英国に対して、五月下旬の欧州議会選挙(任期五年)に参加しなければ、六月一日に合意なしで離脱するよう警告。合意案は英下院でこれまで三度否決され、いまだ承認のめどは立っておらず、メイ政権の離脱交渉は綱渡りの状態が続く。

 また、英国は十月末までの間、いつでも離脱できる。六月の首脳会議で再度、合意案の批准に向けた進捗(しんちょく)状況について英EU間で意見を交わす。

 最長で一年までの延期を提案していたEUのトゥスク大統領は、会議後の記者会見で「想定したよりも短いが、最善の解決策を見いだす上で十分なものだ」と強調した。

 延期には、英国を除くEU加盟二十七カ国すべての承認が必要だった。ロイター通信などによると、大混乱をもたらす合意なき離脱の回避を最優先に、大半の加盟国がトゥスク氏の案を支持した。しかし、マクロン仏大統領は「離脱がEU改革の議論を阻害することを望まない」として六月末までの短期の延期を主張。

 EU高官によると、新たな離脱期日となる十月三十一日は、長期、短期の延期を主張する両陣営に配慮。EUの現執行体制を率いるユンケル欧州委員長の任期満了日(十月三十一日)も考慮し、組織運営に影響を与えないよう設定された。

◆危機残し結論先送り

<解説>

 英国のEU離脱は十月末までの延期が可能となったが、合意なき離脱の危機は残り続ける。

 離脱交渉にあたり、五月下旬の欧州議会選挙(任期五年)への参加は、離脱が事実上の棚上げとなる可能性をはらんでおり、英政府としては越えられない「レッドライン」だ。今後の展開次第では、その一線を越えることもある。

 メイ英首相は、離脱合意案が英下院で「承認されるかもしれない」という願望の域を出ない延期理由を携えてEU首脳会議に臨み、欧州議会の新会期が始まる直前の六月末までの延期を求めた。しかし、EUは、合意案を三度否決した英下院に強い不信を抱いており、メイ氏の要求を拒否。代わりに、選挙参加か合意なき離脱かという選択肢を突きつけた。

 英政府関係者によると、欧州議会選挙のコストは約一億ポンド(約百四十五億円)に上る。二〇一六年の国民投票で離脱を選んだ国民に、負担の必要性を説明するのは容易ではない。だが、参加を拒否すれば、英経済に急ブレーキをかける合意なき離脱が待っている。いずれも回避するには、合意案の承認しか道はない。

 また、延期の間、EUへの拠出金として、月十億ポンド(約千四百五十億円)の支払いが生じるとされる。

 再延期は結論の先送りとも言えるが、英国は合意案承認のめども立たない中、五月に究極の選択をするまで追いつめられた。国民投票から三年、莫大(ばくだい)な離脱関連費だけが募り、EUを離脱できるのかさえ、いまだ見通せていない。 (ブリュッセル・沢田千秋)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報