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【国際】

仏大聖堂再建へ寄付1000億円超 「貧困も救って」くすぶる不満

18日、パリで開かれたノートルダム寺院の消火活動で活躍した消防隊員らをたたえる式典。イダルゴ市長(左から2人目)らが出席した=ゲッティ・共同

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 【パリ=竹田佳彦】大規模火災が起きたフランス・パリ中心部のノートルダム寺院(大聖堂)の再建に寄せられる寄付が、論争を巻き起こしている。仏全土では昨年十一月以来、厳しい生活に苦しむ国民による反政権デモ「黄色いベスト運動」が続く。高額寄付を表明した企業に対し、「十分な資金があれば労働者に還元すべきだ」など不満がくすぶる。

 「社会の貧困に無気力な大企業が、大聖堂のためには一晩でぽんと大金を出せることが分かった」。運動呼び掛け人の一人、ルババスール氏は十七日、仏報道番組で怒りを見せた。

 十五日の火災後、再建費用として集まった寄付総額は二日間で八億ユーロ(約千億円)以上になった。高級宝飾品ブランドを抱えるLVMHと仏化粧品大手ロレアルは各二億ユーロ、仏石油大手トタルは一億ユーロの寄付を発表。建設や通信大手も相次ぎ表明し、大富豪なども続いた。

 別のデモ呼び掛け人らも、再建へ寄付しても「貧困や厳しい生活は消えない」「大聖堂も人間も、ともに救われるべきだ」と主張。二十日にも大規模デモを予定するが、格差や貧困に十分支援がないことへのいらだちがのぞく。

 社会的弱者の支援にあたる団体からは「人間に対する支援も忘れないで」と声が上がる。アベ・ピエール財団は十八日、「美しい大聖堂があるだけでなく、ひどい住宅や路上生活などがない街こそ、素晴らしい都市だ」と訴えた。

 文化事業である再建への寄付には、基本的に税控除が適用される。デモ参加者は高所得者への富裕税復活を求めており、控除も「金持ちが得をするだけだ」と反発。高額寄付者の大富豪が、相次ぎ税制の優遇措置を辞退する考えを示した。

 労働組合、仏労働総同盟(CGT)のマルティネス事務局長は、相次ぐ高額の寄付を「この国の不平等そのものだ」と指摘した。

 寄付の公式窓口の一つ、フランス財団は「寄付は、自分が支援したいと思った人や事柄に対してするもの。連帯意識の表れであり、現代社会で非常に大切な行為だ」と強調し、寄付者に対して過度な注目が集まる状況に懸念を示した。

 

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