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【国際】

韓国の財閥世襲、瀬戸際 不祥事で反発拡大 政権も改革公約

 【ソウル=中村彰宏】韓国で、財閥の世襲に対する反発が広がっている。三月下旬、韓進(ハンジン)グループの創業家出身トップが傘下の大韓航空の取締役再任を否決され、四月にアシアナ航空の売却を決めた錦湖(クムホ)アシアナグループは、朴三求(パクサムグ)会長のワンマン経営がたたり、財閥解体の危機に追い込まれた。頻発する不祥事や、財閥改革を掲げる文在寅政権の意向も背景にあり、「財閥の世襲経営は限界」との見方も出ている。

 韓国経済界に衝撃が走ったのは、三月二十七日に開かれた大韓航空の株主総会。韓進グループの趙亮鍋(チョヤンホ)会長(四月八日に死去)が取締役再任を否決された。韓国の調査会社によると、二〇一七年の韓国企業上位十社の売上高はGDP(国内総生産)比で44・3%。日本や米国を大きく上回り、財閥への依存度が高い韓国で財閥オーナーが傘下企業の取締役を外されるのは、初めての事態だった。

■文大統領に配慮?

 大株主の国民年金公団が反対に回ったのが大きかったが、公団が文政権に配慮したとの見方が強い。文氏は一七年の大統領選で、財閥改革を公約に掲げて当選。今年一月には財閥の経営に関し「間違ったことは正し、責任を問う」と表明していた。年金公団はサムスン電子や現代自動車などの株も保有しており、今後も財閥の経営に影響を与える可能性がある。

 錦湖アシアナグループが売却するアシアナ航空は、グループ売り上げの六割を占め、財閥としての存続は困難な状況に陥った。不適切会計も発覚し、朴氏は三月、グループの会長を引責辞任した。

 ほとんどの財閥が世襲で、現在は二世または三世がトップについている。親族もグループ企業で役員を務める例が多いが、近年は不祥事が絶えない。

 ナッツの出し方に怒って搭乗機を引き返させて有罪となり、「ナッツ姫」と呼ばれた大韓航空副社長(当時)の趙顕娥(チョヒョナ)氏は、趙氏の長女。次女も部下にコップの水をかけるパワハラで批判を浴びた。趙氏自身、企業の資金をめぐる背任と横領の罪で在宅起訴されたことも、今回の取締役再任否決につながった。

■国民の目厳しく

 今年に入っても、SKグループ創業者と現代グループ創業者の孫二人が、ともに麻薬の使用で警察に摘発された。三月の聯合ニュースの世論調査では、67%が財閥に対して「否定的」と回答。86%が財閥改革が「必要」とし、財閥に対する国民の視線はさらに厳しくなっている。革新系の韓国紙ハンギョレは四月八日、趙亮鍋氏の死去を受けて「専門の経営者に責任を任せ、企業を正常化する時だ」と社説で主張した。

 ソウル大行政大学院の朴相仁(パクサンジン)教授は「財閥の世襲が韓国経済に多くの問題を生んでいる。ただ血縁があるというだけで経営を任せるのは常識的ではない」と指摘。サムスンや現代がけん引してきた半導体や自動車産業も陰りが見え、「経済が財閥に依存する状況で世襲が続けば、韓国の経済競争力は落ちていくだろう」と警鐘を鳴らす。

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