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【国際】

一帯一路懸念拭えず 中国「債務のわな」反論に躍起

 【北京=中沢穣】中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議が二十五日、北京で始まった。中国側は、発展途上国を借金漬けにし「債務のわな」に陥れている、との批判への反論に追われた。中国人民銀行(中央銀行)の易綱(いこう)総裁は関連会合で「債務とリスク管理を強化し、持続可能な発展を実現する」と言及した。

 易氏は会合で「一帯一路に関連して中国の金融機関は四千四百億ドル(約四十九兆二千億円)を提供した」などと成果を訴えた。「債務のわな」批判に対してはリスクの存在を認めた一方で、「債務が増加しても、インフラ整備や貧困率の低下などに貢献しているならば、経済が成長し長期的には財政の持続性をもたらす」と反論した。劉昆(りゅうこん)財政相も「(途上国の)財政の持続性を評価する仕組みを作り、債務リスクを防止する」と表明した。財政省は同日、途上国の財政持続性の評価に関する報告書を公表。透明性の確保に前向きな姿勢をアピールした。一帯一路を巡っては途上国のインフラ整備への資金提供を歓迎する見方がある一方、途上国を過剰債務に陥らせ、支配を強めているとの批判が根強い。

 習近平(しゅうきんぺい)国家主席は二十五日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相やフィリピンのドゥテルテ大統領らと個別に会談した。ドゥテルテ氏は南シナ海問題で対中批判を強めているが、会談では海上協力を進めていく方針を確認した。

 二回目となる国際会議には三十七カ国の首脳級が参加。ロシアのプーチン大統領も北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)党委員長との会談後に北京に入る。摩擦が続く米国は高官の派遣を見送った。

◆取り込まれる東・南欧

 【ベルリン=近藤晶、パリ=竹田佳彦】中国の「一帯一路」構想は東欧や南欧で存在感を高めている。イタリアが先進七カ国(G7)で初めて覚書に署名したのに続き、ギリシャは中国と中東欧諸国の協力枠組み「16+1」に参加。中国の経済力に期待して対中傾斜を強める各国の動きに、欧州連合(EU)は警戒感を強めている。

 「ともに経済成長を促進する」。クロアチアのドブロブニクで今月十二日に開催された「16+1」の首脳会議で、ギリシャのチプラス首相は連携強化に期待を示した。ギリシャは今回の会議で旧共産圏以外では初めて正式な参加国として認められたため、来年からは一カ国増えて「17+1」となる。

 ギリシャは昨年、「一帯一路」に関する覚書にも署名、対中関係の強化を進める。背景には〇九年に発覚した財政赤字隠しに端を発する経済危機がある。EUは融資と引き換えに厳しい財政再建を要求。国民の不満が高まり、反緊縮を訴えるチプラス政権が誕生した。一六年には国内最大のピレウス港が中国企業に買収されたが、国民の根強い反EU感情も中国への接近を後押しする。

 EU加盟交渉中のモンテネグロでも、中国の融資で高速道路建設が進む。だが同国の債務は国内総生産(GDP)の八割に上るとされ、国際通貨基金(IMF)は事業継続は不可能と警告。米シンクタンク、世界開発センターは、パキスタンやモルディブなど、一帯一路に伴う債務負担で脆弱(ぜいじゃく)な財政状況に陥った八カ国の一つにあげる。

 欧州メディアによると、一帯一路の覚書に署名したEU加盟国は計十五カ国。EU主要国には中国の影響力が拡大し、欧州の分断につながるとの懸念がある。EUは先月、中国を「競争相手」と位置付け、対中戦略の見直しに着手。だが加盟国が足並みをそろえるのは容易ではなさそうだ。

<「16+1」> 中国が旧共産圏の中東欧諸国と経済関係の強化を図る狙いで、2012年に創設した枠組み。EU加盟11カ国とEU加盟を目指す西バルカン地域の5カ国が参加する。中東欧地域は5億人を超えるEU市場への玄関口にあたり、中国は100億ドル(約1兆1000億円)規模の融資枠を設け、積極的なインフラ投資を進めてきた。

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