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【国際】

日米首脳会談 農業関税撤廃を要求 トランプ氏「来月締結」

26日、ワシントンのホワイトハウスで、握手する安倍首相(左)とトランプ米大統領=共同

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 【ワシントン=清水俊介】安倍晋三首相は二十六日午後(日本時間二十七日午前)、トランプ米大統領とワシントンのホワイトハウスで会談した。トランプ氏は日米貿易交渉を巡り、日本が米国産の農畜産品にかけている関税の撤廃を要求。貿易協定を五月にも締結する可能性に言及した。両首脳は早期の合意を目指し、閣僚間の交渉を加速させることに合意した。北朝鮮の非核化に向けて緊密に協力することも確認した。

 トランプ氏は農畜産品に対する日本の関税を「一日も早くなくしてほしい」と表明した。さらなる対日貿易赤字の削減も求めた。

 これに対し、首相は「双方にとって利益となるような交渉を進めていきたい」と応じた。その上で、日本の企業がトランプ政権発足後、米国に二百三十億ドル(二兆六千億円)の投資を行い、新たに四万三千人の雇用を生み出したことを挙げ「それぞれの数字は世界一だ」と理解を求めた。

 トランプ氏は米国製の武器を日本が購入していることを評価。首相も武器の購入が貿易不均衡の是正に貢献していると強調した。

 前日の日米財務相会談で米側は意図的な通貨安誘導を防ぐ「為替条項」の導入を含む議論を貿易交渉の枠内でするように求めたが、トランプ氏は首脳会談で為替条項に言及しなかった。

 北朝鮮問題を巡っては、首相はトランプ氏が過去二回の米朝首脳会談で拉致問題を取り上げたことに謝意を伝えた。首相は「次は私自身が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と向き合い、解決する」と決意を表明した。トランプ氏は「全面的に協力する」と応じた。

 首相は会談後、北朝鮮の核問題に関し「今後の米朝プロセスを展望し、進め方について突っ込んだやりとりをした」と記者団に説明した。「日本として、朝鮮半島の非核化に向けて積極的な役割を果たす決意だ」とも語った。

 首相は会談でトランプ氏に、六月に大阪で開催する二十カ国・地域(G20)首脳会合の成功に協力を要請した。会合にはトランプ氏の出席が見込まれる。

◆大統領選へ焦り 楽観できぬ交渉

<解説> トランプ米大統領が日米首脳会談で、米国産の農畜産品に対する関税の撤廃を求め、五月の貿易協定締結に言及したのは、功を急ぐが故の焦りの裏返しだ。日本側から見れば無理筋な要求だが、トランプ氏も来年の大統領選に向け、なりふり構っていられない。今後の交渉は楽観できない。

 農産物の関税引き下げを巡っては、日米は昨年九月の共同声明で環太平洋連携協定(TPP)を最大限とすることで合意済み。首脳会談に同席した茂木敏充経済再生担当相は会談後の記者会見で「トランプ大統領から具体的にTPPを上回るといった発言は全く出ていない」と平静を装った。

 トランプ氏の要求は日米当局間の調整を十分に踏まえていない可能性もある。実際、同氏は農畜産品の関税撤廃を求めた後に「われわれは日本車に関税をかけていない」と事実誤認の発言をした。友好を演出したい首相も、さすがに「米国はまだ日本車に2・5%の関税をかけている」と反論した。

 トランプ氏が成果を急ぐ背景には農家の突き上げがある。TPP離脱の結果、米国の牛肉や豚肉はオーストラリアなどライバルに比べて対日輸出が不利になり、日本でのシェアが低下している。来年の大統領選での再選に向け、日本とディールをまとめて農業票をつなぎ留めたいところだ。

 日本側には「焦っている方が立場が弱い」(交渉筋)と楽観視する向きもあるが、農業分野で譲歩を迫られる展開になりかねない。日本が要求を拒めば、トランプ氏が日本車の輸出台数を制限する数量規制といった「禁じ手」を持ち出す懸念も残る。 (ワシントン・白石亘)

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