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【国際】

スーダン政変 中東・アフリカに波紋

スーダンの首都ハルツームにあるシリア難民が集う喫茶店。ある男性は「排外主義が強まらないといいのだが」と不安を見せた

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 民主化を求める大規模デモが収束せず、混迷の度を深めるアフリカ北東部スーダンの首都ハルツームで、シリア内戦から避難してきた難民や隣国エジプトから逃れたイスラム主義者が事態の推移を注視している。彼らの処遇にも影響が出かねないためで、イスラム教を通した中東とアフリカの「結節点」であるスーダンの行方は、両地域全体の安定にも関わっている。 (ハルツームで、奥田哲平、写真も)

 ■イスラム主義者

 「難民への処遇が変わり、送還されるのではないかといううわさが飛び交っている」。ハルツームの旅行会社で働くシリア難民のユニス・ダヘールさん(23)は、思い詰めた表情で語る。アサド政権軍の徴兵を嫌い、三年前にシリア南西部からたどり着いた。

 三十年にわたる強権支配を続けたスーダンのバシル前大統領は、イスラム主義勢力が中心の政治体制を築いたため、イスラム教徒の受け入れに寛容だった。シリア国籍者は入国にビザが不要で、半年間滞在すると市民権の取得が可能。約十万人のシリア難民が暮らすとされる。

 エジプトのイスラム主義組織「ムスリム同胞団」もバシル政権の保護下にあった一つ。二〇一三年にシシ大統領(当時は国防相)が率いる軍事クーデターで同胞団出身のモルシ政権が崩壊後、弾圧を逃れたメンバーがスーダンで身を潜める。エジプトで死刑判決を受ける同胞団幹部(50)は「今後はイスラム主義者への門戸が閉ざされるだろう。混乱に乗じてエジプト情報機関が入り込んで活動するかもしれない」と警戒心をあらわにする。

 ■周辺国への影響

 スーダンは、難民やイスラム主義者にとってのシェルターの半面、イスラム過激派の移動を容易にする「乗り継ぎ国」(地元記者)とも指摘される。過激派の動向に詳しいカイロ大学(エジプト)のネルミン・タウフィク講師によると、中東を脱出した過激派の一部はトルコからスーダンに入国し、アフリカ各地に向かう流れがあるという。

 一九九〇年代には、国際テロ組織アルカイダを率いた故ウサマ・ビンラディン容疑者らがスーダンに潜伏していた。タウフィク氏は「速やかに次期政権が発足してテロ対策が強化されるか、治安維持ができずに『テロリスト天国』になるのか、重要な分岐点にある」と警告する。

 スーダン情勢は、二〇一五年以来泥沼化するイエメン内戦にも影響しかねない。反政府武装勢力フーシ派と戦うアラブ連合軍の中で、自国兵の犠牲を避けて空軍に頼るサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)に代わり、スーダン軍の地上部隊が最前線の主力を担う。活動実態は不明で、一万〜二万五千人(地元記者)とされる。

 昨年イエメンに派遣された現役兵士(52)は「私が駐留した七カ月間で少なくとも二百五十人は亡くなった。スーダン軍が撤退すれば、連合軍は戦い続けられない」と指摘する。暫定政権を担う軍事評議会は今のところ派兵継続を表明。サウジとUAEは二十一日、スーダンに三十億ドル(三千三百億円)の財政支援を約束した。

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