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【国際】

バグダディ容疑者か 映像公開 IS指導者、健在アピール

29日に発表されたビデオ声明で話すIS指導者アブバクル・バグダディ容疑者とされる男=ISメディア部門アルフルカーン提供、AP・共同

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 【カイロ=奥田哲平】過激派組織「イスラム国」(IS)のメディア部門は四月二十九日、指導者アブバクル・バグダディ容疑者だとする男の映像を公開した。男は、キリスト教会などを狙った二十一日のスリランカの連続爆破テロについて、IS最後の支配地域だったシリア東部を喪失したことへの「報復」と主張し、実行犯らを称賛。ジハード(聖戦)継続をIS賛同者らに呼び掛けた。扇動に呼応した新たなテロが起きる警戒が高まる。

 映像が真実なら、バグダディ容疑者が姿を現すのは二〇一四年七月にイラク北部モスルのモスク(イスラム教礼拝所)で演説して以来約五年ぶり。本拠地としていたイラクとシリア両国でほぼ一掃されたISが、消息を巡る指導者の死亡説を打ち消し、スリランカの爆破テロを通じていまだに高い攻撃能力を保持すると誇示する狙いとみられる。ただ今回のテロをISが組織的に主導したかどうかについては、疑問の声もある。

 約十八分間の映像で、ひげを生やしたバグダディ容疑者とみられる男がソファに座って話した。同容疑者はイラクとシリア国境の砂漠地帯に潜伏するとの説があるが、撮影された場所は不明。米国は容疑者拘束につながる情報提供者に二千五百万ドル(二十八億円)の懸賞金を用意し、行方を追っている。

 映像の中で挙げられた国名から、ISの戦略が浮かび上がる。アフリカ西部ブルキナファソとマリを名指しし、イスラム過激派の掃討作戦に派兵する仏軍とその同盟国を攻撃するよう要求。政変が起きて混乱するスーダンとアルジェリアについては「独裁を止めるには剣だけが成功の道」と語った。不安定な政治情勢につけ込む形で勢力拡大を目指すのは、内戦下のシリアでたどった道筋といえる。

 バグダディ容疑者の映像公開に先立ち、二十九日にはブルキナファソでキリスト教会が襲撃され、六人が死亡した。犯行声明は出ていないが、三月にニュージーランドのモスクで五十人が死亡する銃乱射テロが起きて以降、IS戦闘員かどうかに限らず、「異教徒」に対する憎悪に根差した報復の連鎖が強まっている。イスラム世界では五月六日ごろ、信仰心が高まるラマダン(断食月)が始まる。

 

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