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【国際】

パリ近郊 英離脱特需 ロンドンのEU機関が転入

仏パリ近郊のデファンス地区で、登場した移動式の飲食販売店に並ぶ近くの会社員ら

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 英国の欧州連合(EU)離脱期日が再延期されて見通しが立たない中、ロンドンから転出するEU機関、欧州銀行監督機構(EBA)などを受け入れるフランス・パリ近郊が活況を呈している。ビル建設やオフィス需要は好調で、経済関係者は「(離脱の)結論が出るまで待ってはいられない」と意気込む。 (パリ支局・竹田佳彦、写真も)

 パリ中心部から地下鉄で西へ約十五分。副都心デファンス地区ではオフィスビル五〜六棟の建設が進む。空室率は4・3%と極めて低い。「英国は後先考えず離脱を決めたんじゃないか。デファンスにとってはありがたいけどね」と、観光・企業案内所の男性が笑った。

 一帯は高度経済成長期の一九六〇年代に開発が始まった。二〇〇七年の金融危機終息後からビル建設や改修工事が加速し、EBAの移転も活況を後押しした。現在は十八万人が働く。

 「パリ・デファンスにとっては、経済拠点として欧州の他都市を引き離す大きなチャンスだ」。地域の開発団体代表で地元県議会議長のパトリック・ドゥベジャン氏が頬をゆるませた。

 EBAはEU域内の金融機関を監督する組織。離脱に伴う業務の停滞を避けるため一七年六月に大陸側への移転を決め、加盟国の投票でデファンスに決まった。

 EBAの移転決定に伴い、英銀行大手HSBCやバンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関もパリの人員強化を進めた。パリを含む広域自治体、イル・ド・フランス地域圏によると、パリ近郊での雇用は直接が三千五百人増、間接で二万人増を見込む。仏政府系機関の調査によると、一九年一〜三月期の対仏投資決定数は前年同期比20%増を記録した。

 ビル街では労働者の増加を目当てにフードコートの建設計画が進み、移動式の飲食販売店も登場した。英国産チェダーチーズを使ったサンドイッチを売るジェローム・コエットさん(35)は「離脱が決まってチーズが数回値上がりしたが、お客さんはどんどん増えている。すぐに取り戻せそう」と、表情は明るい。

 ドゥベジャン氏は近未来をこう描く。「ロンドンは離脱したとしても欧州経済の拠点の一つにとどまるかもしれない。だが、パリという新たな金融拠点が誕生する。欧州レベルで経済の地図再編が進むだろう」

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