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【国際】

<メディアと世界>地元ニュース増へ州補助金 全米初

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 米国でローカルニュースが少ない州の一つである東部ニュージャージー州で、州政府が地元ニュースを増やす活動に補助金を出す試みを始める。住民が選挙などに必要な信頼できる情報を入手できない「ニュース砂漠」の危機を克服するため、州レベルで対策に乗り出すのは全米で初めてという。(アメリカ総局・白石亘)

 利用者向けに地域ごとのローカルニュースを集めているフェイスブックの調査によると、同州では一日あたり五本以上の地元ニュースが見つけられない地域が58%を占める。新聞業界のリストラが背景だが、住民からは「自分が納めた税金がどう使われ、行政が何をしているか分からない」との声が出て、四年前に地元ニュースの支援を求める運動が起きた。

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 州知事は七月からの新年度予算に百万ドル(一億一千万円)を要求。州議会も賛成しており、五百万ドルへの増額も検討中だ。地元ニュースの質と量を向上させるアイデアを広く募り、複数のプロジェクトを支援する。例えばフリーの記者の活動資金に充てたり、ジャーナリスト志望の若者に奨学金を給付したり、州内の話題を発信するネットラジオをつくるアイデアがある。

 住民運動を主導した「報道の自由行動基金」の同州担当幹部マイク・レスポーリ氏(34)は「住民はニュースの消費者として扱われてきたが、有権者として地域で何が起こっているか知る必要がある。信頼できるジャーナリズムは民主主義の生命線だ」と強調する。

 これに対し、ニュージャージー新聞協会の政治担当リチャード・ベザ氏(65)は「州政府はニュースに補助金を出すべきではない」と反対の姿勢を示す。「自らに有利な報道をさせるため、資金の出し手としての立場が悪用される恐れがある」として、メディアの独立性が損なわれることを警戒する。

 一方、レスポーリ氏は「州政府が影響力を行使できない仕組みを取り入れている」と反論。州はだれに補助金を配るかに直接関与せず、地元の公立大が事務局を務める協議会で判断する。協議会の役員の人事権は知事や議会、大学などに分散させ、特定の勢力の意向が働かないよう配慮した。

 またベザ氏は「州が支援する組織が(新聞社のような)民間企業と競争するのは不公平」と批判するが、レスポーリ氏は「商業メディアに埋められない住民のニーズを満たすために補助金は重要だ」と指摘する。

 

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