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【国際】

窮地のイラン外交 救済策は欧州頼み 核合意一部停止 先行き見えず

 【カイロ=奥田哲平】イランが核合意の義務履行の一部停止を表明したのを受け、欧州側がイランの要求に応えられるか否かが焦点となっている。ロウハニ政権は、トランプ米政権と国内強硬派の板挟みに遭うなかで、経済的には欧州や中国に頼らざるを得ない綱渡りの外交が続く。だが、欧州側にも有効策が打ち出せる見通しはなく、先行きは明るくない。

 イランは八日、トランプ米政権の核合意離脱に伴う経済制裁への対抗措置として、合意で定められる制限量以上の濃縮ウランを保有すると表明した。六十日間の猶予期間内に、欧州側が石油輸出と銀行分野の取引継続を求めるイランの要求に応じない場合、高濃縮ウランの製造などを始めるとしている。イランへの救済措置を取るのか、それとも核開発再開で中東の緊張を高めるのか、欧州側に選択を迫った形だ。

 これに対し、英独仏三カ国と欧州連合(EU)は九日の声明で、「いかなる最後通告も拒否する」とイラン側の姿勢に難色を示しつつ、「イランと合法的に貿易するための努力を続ける」と強調。一方、イランのザリフ外相は「一方的に合意順守を求めるのではなく、義務を果たすべきだ」と、欧州側に経済関係の維持を求めた。

 ただ欧州企業は、米制裁を恐れてすでにイランを撤退。イラン企業との金融決済を円滑化するため、今年一月に設立した「貿易取引支援機関(INSTEX)」も機能していない。イラン最大の石油輸出先である中国も、米国との貿易摩擦を抱えて輸入継続に慎重になっているとされる。

 昨年米制裁が復活して以降、ロウハニ政権の方針はいわば「戦略的忍耐」だった。欧州などとの貿易を維持して経済危機に耐え、二〇二〇年の次期米大統領選で政権交代を待つ。しかしトランプ政権の矢継ぎ早の締め付け策に、そのもくろみは狂いつつある。

 仮にイランが「六十日後」に核開発を本格化させても、待つのはいばらの道だ。現在は解除されているEUと国連の制裁が再開され、国際社会から完全に孤立するリスクがあるからだ。EU外交当局者はAFP通信に「核合意維持の望みはますます弱くなっている」と悲観的な見通しを示した。

 

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