東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

欧州議会選23日から EU懐疑勢力、伸長か

写真

 欧州連合(EU)の欧州議会選挙(定数七五一)が二十三〜二十六日、離脱議論が迷走する英国を含む加盟全二十八カ国で実施される。移民流入や厳しい経済状況を背景に、極右政党などEU懐疑勢力が伸長する見通しで、EUの意思決定に影響を与えるのは避けられない情勢だ。民主主義や人権尊重などの共通理念を掲げるEUの統合深化は岐路に立たされている。 (パリ・竹田佳彦)

■極右結集

 「すべての人が極右や極左に投票すれば、将来の欧州はどうなるのか」。EUの執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は七日、記者会見で懸念を示した。

 念頭にあるのは、イタリアで連立政権の一翼を担う極右政党「同盟」書記長、サルビーニ副首相の発言だ。欧州議会では、主張が近い政党同士が連携して会派をつくる。四月、加盟国の極右横断的な新会派を立ち上げる方針を表明し「選挙に勝ち、欧州を変える」とぶち上げた。EUの基本理念「移動の自由」に反する厳格な国境管理や移民対策を主張、統合深化に逆行する加盟国の主権重視を求めている。

 欧州では二〇一三年以降、中東地域や北アフリカから移民流入が続き、玄関口となるイタリアやスペインなど南欧で不満が募る。経済の低迷で、EUが求める緊縮財政への反感も強い。各国では有効な対策が打てない政権与党への批判もあり、EU懐疑派が支持を広げてきた。

■機能不全

 サルビーニ氏の呼びかけに、ドイツやフィンランド、デンマークの極右勢力が同調した。フランスで与党「共和国前進」と支持率が拮抗(きっこう)する「国民連合(国民戦線から改称)」も協力する方針だ。

 英シンクタンク欧州外交評議会の予想によると、選挙では過半数を獲得する勢力はない見込み。現在連立を組む親EUの主要二会派を合わせても過半数に届かず、極右連合や極左などのEU懐疑勢力は最大で33%以上の議席を得る可能性がある。

 欧州メディアでは、極右とは言え主張がバラバラでまとまった勢力にはなり得ないとの分析もある。それでも個別のテーマで連携すれば、欧州委員の選任の承認や一部の立法・外交手続きで、議案の阻止や修正を求めうる存在になる。

 主要二会派が親EUの他党と大連立を組むシナリオもありうるが、政党間で主張が異なる。

 パリ政治学院のオリビエ・ロザンバーグ教授(政治科学)は「支持を伸ばした懐疑派の説得も必要で、合意形成にますます時間がかかるようになる」と指摘。決められないEUが機能不全に陥る状況を懸念した。

 親EUの旗手を自任するフランスのマクロン大統領が打ち出すユーロ圏共通予算の創設など改革議論も、停滞を余儀なくされる可能性が高い。

■迷走の末

 英国政府は七日、欧州議会選へ参加する見通しを示した。当初は三月二十九日にEU離脱を予定したが、英下院の議論は迷走。離脱期日は十月末までに延期された。

 英国では四月、早期離脱を目指す新党「ブレグジット(英国EU離脱)党」が結成された。反EUのファラージ党首は、選挙を通じて離脱派の国民が政府に「強いメッセージ」を送る機会だと息巻く。国内では政党別で最大の支持を得る勢いだ。

◆英は離脱再延期 選挙参加の義務

 月末に迫った欧州連合(EU)の欧州議会選。EU主要機関の一つである欧州議会の役割や選挙の仕組みをまとめました。

 Q 役割は。

 A EU市民約5億人の声を代表し、加盟国の閣僚で構成する閣僚理事会と共同で法律を作ったり、予算案を審議したりします。行政執行機関である欧州委員会を監督する役目があり、新しい欧州委員長や欧州委の任命にも影響力を持っています。

 Q 議員の数は。

 A 議長を含め定数は751で任期は5年です。加盟国の人口比で議席が配分され、最多はドイツの96議席、最少はマルタなど6議席。女性議員の割合は全体の約37%です。

 Q 議会運営は。

 A 原則月1回、フランス東部ストラスブールで本会議を開きます。議員は出身国ごとではなく、主張を共有する政党グループ(会派)で行動します。前回選挙から主要会派は委員長候補を立てて戦うことになり、加盟国首脳で構成する欧州理事会が委員長候補を指名する際、選挙結果を考慮しなければなりません。

 Q 選挙制度は。

 A 全28加盟国で比例代表制の直接普通選挙ですが、選挙権年齢(一部を除き18歳以上)などは国によって異なります。選挙は1979年から5年ごとに行われ、今回で9回目。投票日は23日のオランダと英国を皮切りに、最も多い21カ国で実施される26日までです。

 Q 英国の離脱問題の影響は。

 A 当初、英国の離脱を前提に定数は705に削減されることになっていました。しかし離脱期限が再延期されたため、議会選までに離脱できなければ英国も選挙に参加する義務が生じました。 (ベルリン・近藤晶)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報