東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

イラン、挑発行動否定 米空母派遣に抑制的対応

 【カイロ=奥田哲平】トランプ米政権が中東地域に原子力空母などを派遣し、イランへの圧力を強めたことで、偶発的な軍事衝突の懸念が高まっている。米軍攻撃の兆候を示す情報があるとされるが、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」のサラミ総司令官は十二日、「イランは戦争を始めたことはなく、好んでもいない」と否定した。

 米NBCテレビは九日、イランが中東の親イラン武装勢力に対し、米兵や軍施設への挑発行動を指示したとの情報に基づき、空母などを派遣したと伝えた。イラクの民兵組織やペルシャ湾での船艇による攻撃を想定しているもようだが、「脅威」について具体的に説明していない。イランは「心理戦」と取り合わない構えで、今のところ抑制的に対応している。

 一方、高まる軍事的緊張を受け、ソーシャルメディアでは、トランプ氏と二〇〇三年のイラク戦争開戦前のブッシュ元大統領の発言を比較し、脅威を強調する手法が似ていると指摘する動画が広がっている。イランのラバンチ国連大使は「イラク侵攻を導いたのと同じ人たちによるでっち上げ」と、大量破壊兵器があるという誤った情報に基づいて踏み切ったイラク戦争を引き合いにけん制した。

 空母派遣などの軍備増強の動きが誇張だとの指摘もある。ペルシャ湾にはバーレーン拠点の米海軍第五艦隊が常駐するが、原子力空母の配備は珍しくない。空母ジョン・ステニスは昨年十二月からペルシャ湾で活動し、四月下旬には今回派遣される空母エイブラハム・リンカーンとともに地中海で軍事演習に参加した。ステニスは引き続き地中海にとどまっており、実質的にはリンカーンが交代でペルシャ湾に入る形だ。

 米国防総省は十日に地対空ミサイル「パトリオット」一基を中東に追加配備するとも表明したが、米軍は昨年九月、対中国やロシアに戦力を割くため、バーレーンやクウェートからパトリオット四基を撤去していた。カイロ大学のハッサン・ナファ教授(政治学)は「トランプ氏は多大な犠牲を生んだイラクのような新たな戦争に関与したくないのが本心。空母派遣などはイランを追い詰めるためにメディアを使った情報戦だ」と指摘する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報