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【国際】

上半身裸の写真流出で解雇 女性だから?NYの元中学教師が提訴へ

自撮り写真の流出を理由に解雇されたローレン・ミランダさん。「男性なら解雇されなかった」と性差別を訴える=赤川肇撮影

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 米東部ニューヨーク州の元中学教師の女性が、上半身裸の自撮り写真の流出を理由に解雇されたのは違法な性差別だとして、学区の教育長らに復職や慰謝料三百万ドル(三億三千万円)を求める訴訟を起こす。女性側は「女性だから解雇された」と主張。西部カリフォルニア州に拠点を置くロサンゼルス・タイムズ紙が社説で取り上げるなど全米の注目を集めている。(ニューヨーク・赤川肇)

 ニューヨーク・マンハッタンの東百キロにあるサフォーク郡ベルポート村。ローレン・ミランダさん(25)は二〇一五年から、一戸建て住宅に囲まれた地元の中学校で数学を教えてきた。

 「あなたの裸の写真を生徒らが持っている」。同僚のメッセージを携帯電話で見たのは一月中旬の金曜日、一限目の直後だった。校長室に呼ばれ、パソコンの画面を見せられた。三年前、当時交際していた男性教師に送った電子画像。震えが止まらず、取り乱した。

 学区事務局の判断で翌週から休職処分に。男性教師以外には送っていないと不可抗力を訴えたが、聞き入れられなかった。ジアーニ教育長は退職勧奨の書面で「不適切な写真が生徒に広がるのを可能にした。または十分な予防措置を怠った」などと指摘。流出の経緯が分からないまま、三月下旬の学区の教育委員会で解雇が決まった。

「不適切な写真」の流出を退職勧奨の理由に挙げた教育長からの文書の写し=ミランダさん提供

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 「生徒らの模範たり得ない」。ジアーニ教育長の言葉がミランダさんの耳に残る。しかし自分が男性なら、同じように辞めさせられたとは思えなかった。

 情報化社会では、個人の情報や画像が意に反して拡散してしまうことが、教え子の身にも起こり得る。このまま泣き寝入りすれば、それこそ「模範」の道にもとるのではないか。そう考えた。「私の仕事は困難に向き合う生徒らを手助けすること」。報道機関に顔も実名も出し、自分の正義を訴えて闘う決断をした理由を話した。

 ロサンゼルス・タイムズ紙は四月六日付の社説で「男性が半裸を許される場合、女性も許されるべきなのは言うまでもない」と指摘し、特定の集団に不利益を強いる社会規範は捨てるべきだと主張した。

 ジアーニ教育長は本紙の取材に電子メールで「係争中の事案にはコメントしない」と答えた。

 米ケニオン大のサラ・ムーネン教授(社会心理学)はミランダさんの解雇について「女性による裸の自撮りそのものをよしとしない考えがあるのだろう。女性を性的対象と見る根強い風潮の反映だ」と指摘した。

 

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