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【国際】

イラク民兵が「イラン脅威」高める!? 駐留米軍と衝突の恐れ

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 【カイロ=奥田哲平】米国とイランの軍事的緊張が高まっている問題で、イラクのイスラム教シーア派民兵組織の動きが、米国が軍事的圧力を強める要因になったとの見方が出ている。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を通じてイランの影響力が強まったイラクでは、米軍駐留への不満がくすぶり、偶発的な衝突の舞台になる恐れがある。

 英ガーディアン紙(電子版)は十六日、イランがイラクの親イラン派民兵組織に対し、「代理戦争の準備をするよう伝えた」と報じた。イランの軍事組織「革命防衛隊」で対外工作を担うコッズ部隊のソレイマニ司令官が、民兵組織の指導者を集めて告げたという。革命防衛隊は四月に、米国からテロ組織に指定されている。

 またロイター通信の報道によると、民兵組織が駐留米軍基地近くにロケット弾を配置したとの情報があり、米国が警戒を強化したという。いずれも詳細は不明だが、米国務省は十五日、在イラク公館の一部職員に退避を指示。ドイツとオランダもイラク軍に対する訓練の一時停止を発表した。

 民兵組織「人民動員隊」は、二〇一四年にISが台頭したのを受け、正規軍を補う形で親イラン派の政治宗教勢力がつくった。実際にはコッズ部隊の指揮命令を受けるとされ、十数万人の兵力を誇る。

 米軍は現在も五千二百人が駐留を続ける。IS掃討後もイラク軍を後方支援する名目だが、イランの覇権主義をけん制する狙いもあるとみられる。米国は三月に人民動員隊の一派をテロ組織に指定。ポンペオ米国務長官は七日、イラクのアブドルマハディ首相との会談で、半ば独立した存在に伸長した民兵組織を、正規軍の統制下に置くよう要求した。

 イラクはイスラム教シーア派が多数派で、電力の半分をイランからの天然ガス供給に依存するなど、切っても切れない関係だ。一方で、米国は電力供給網などを米企業に任せ、イラン孤立化に協力するよう圧力をかけているとされる。〇三年のイラク戦争以来の反米意識もくすぶっている。

 

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