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【国際】

<メディアと世界>ロシア大手紙、人事記事で2人解雇 記者が抗議の集団辞職

騒動の原因となったマトビエンコ上院議長の去就を巡る記事が載った4月17日付のコメルサント紙=栗田晃撮影

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 【モスクワ=栗田晃】ロシア大手紙「コメルサント」で二十日、政権ナンバー3のマトビエンコ上院議長の去就に関する記事を書いた政治部記者二人が「編集基準の違反」を理由に解雇された。政権に近いオーナーの圧力が原因だとして、抗議の意味を込め、二人以外の政治部の全記者十一人が一斉に辞職。大手メディアを影響下に置いてきたプーチン体制では珍しい、言論の自由を巡る騒動となっている。

 きっかけは四月十七日付一面で掲載された記事。複数の国家機関筋の情報として、マトビエンコ氏が近く議長の座を退き、ナルイシキン対外情報局長官が後任候補だと報じた。解雇通告を受けた記者がフェイスブックで「株主の強い不満が理由だ」と明かしたことで問題が発覚した。

 コメルサント紙は二〇〇六年から、オリガルヒ(新興財閥)のウスマノフ氏が所有。ウスマノフ氏は米財務省が昨年公表したプーチン政権に近いオリガルヒのリストに名を連ね、過去、プーチン氏から国家勲章も授与されている。

 同紙関係者によると、編集基準違反の具体的な説明はなく、連帯して辞表を出した中の一人、アラ・バラホワ政治部長は本紙取材に「基準違反なんて口実にすぎない。マトビエンコ氏が気に入らない記事を書いた記者を処分するように依頼し、応じたのだろう」と憤りを示した。

 情報源を明かすよう迫られた記者が拒否したため、解雇に踏み切ったという話もあり、社員有志は「記者に対する直接的な圧力だ」との抗議声明を発表し、二百人以上が署名した。

 一方、ウスマノフ氏側はロシアメディアに「解雇の判断に関わっておらず、編集権にも介入していない」と関与を否定。政権側も「社内の問題であり、介入するつもりは毛頭ない」(ペスコフ大統領報道官)と釈明した。

 高等経済学院のセルゲイ・コルズン教授(ジャーナリズム)は「オーナーの編集権介入は検閲を禁じた憲法違反だが、大半のメディアでは抵抗するすべがない。ロシアでは、メディアが権力者の道具になっており、言論の自由への攻撃は続くだろう」と指摘した。

<コメルサント> 1917年のロシア革命後に発行停止となった経済紙を、ソ連末期の90年にジャーナリストらが週刊紙として復刊し、92年から日刊となった。独立的な報道で影響力を高め、99年からは政商と呼ばれたベレゾフスキー氏が保有。2006年に国営系列企業を経営するウスマノフ氏が買収した。現在の発行部数は約11万部。

 

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