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【国際】

「イランの脅威」情報を提供か イスラエル沈黙 米を下支え

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 【カイロ=奥田哲平】米国とイランの緊張が続く中、かつてはイラン単独攻撃も検討したイスラエルが沈黙を保っている。トランプ米政権に足並みをそろえ、イランへの敵対姿勢を強めるアラブ諸国に水を差さないためとみられる。米国の軍事的圧力を高める動きを下支えする役割に徹しているもようだ。

 「イランが核兵器を持つのを許さない。われわれを殺すであろう相手と戦い続ける」。イランが核合意の義務履行の一部停止を表明した八日、イスラエルのネタニヤフ首相は猛反発した。ただ、それ以降はイランに対して普段の勇ましい言動は影を潜めている。

 有力紙ハーレツのコラムニスト、ギデオン・レビ氏は「トランプ大統領がエスカレートした背後にはネタニヤフ氏がいる」と指摘する。米国が原子力空母などを派遣し軍事展開したきっかけは、中東地域の米軍を標的にした攻撃の兆候があるという「イランの脅威」を巡る情報だった。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、こうした情報はイスラエル情報機関から、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に伝えられたという。攻撃対象には米同盟国のサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)も含まれていた。

 実際に「脅威」に現実味があるかは疑念が残るものの、歴代首相の戦略アドバイザーを務めたハイファ大学国家安全保障研究センターのダン・シュエフタン所長は「相当確度の高い情報と考えられる」。米国とイスラエルは恒常的に機密情報を交換し、「米国ほどの友好国ではないサウジへの提供もあり得る」という。

 イスラエルにとってのイランは安全保障を脅かす「敵」。核開発疑惑が持ち上がった二〇一二年、ネタニヤフ氏は単独攻撃の可能性を繰り返したが、自国軍やオバマ前米政権が反対して見送られた経緯がある。

 トランプ政権下での米国との関係は「かつてないほど強固」(ネタニヤフ氏)だ。一方で、アラブ諸国はパレスチナ問題を巡ってイスラエルと表立って連携するのが難しい。シュエフタン所長は「米・アラブ連合の機運を妨げないために直接の関与を控え、情報分野で支えるのがイスラエルの今回の役割」とみる。

 事実上の核保有国であるイスラエルは、周辺国の核保有に神経をとがらせ、一九八一年にイラクの原子炉、二〇〇七年にシリアの核関連施設を空爆。米国がイラク戦争に踏み切る前年も、ネタニヤフ氏は米議会で「イラクが核開発を進めているのは疑いようがない」と述べて開戦を後押しした。しかしその後、核兵器を含む大量破壊兵器の保有情報は誤りだったと判明している。

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