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【国際】

イラン、緊張緩和模索 米と衝突回避狙う 強硬派は批判

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 【カイロ=奥田哲平】米国の軍事的圧力にさらされるイランが、外交攻勢で緊張緩和の道を探っている。ロウハニ大統領は先月二十九日、経済制裁解除などの条件付きで、米国との交渉を受け入れる考えを示唆。トランプ米大統領が日米首脳会談時に「イランと対話したい」と述べたことなどを受け、方針を転換した可能性がある。ただ、国内の反米強硬派から批判を受けるのは確実で、実現するかは見通せない。

 「不正な制裁を解除し、核合意の約束を履行すれば、対話の扉は閉められない」。国営メディアによると、ロウハニ師は閣議で「国民は米国の言葉ではなく、行動で判断する」と具体的対応を求めた。ロウハニ師は先月二十日に「現在の状況は話し合いに適していない」と交渉拒否したばかりだ。

 盟友のザリフ外相は米国がイラン産原油の完全禁輸制裁を始めた五月だけで七カ国を訪問。イランメディアは会談内容を大々的に報じている。経済制裁に加えて軍事的圧力も受け、日本を含めた第三国を通じ、対話チャンネルを探らざるを得なくなったもようだ。

 ロウハニ政権は、石油禁輸の解除を最優先課題に掲げているとみられる。ロイター通信によると、国家収入の六割を占める石油は、昨年四月で一日当たりの輸出量は二百五十万バレルだったが、五月は四十万〜五十万バレルまで減少する見通しだ。

 ザリフ氏らは外国訪問で、湾岸諸国との不可侵条約の締結も提案した。イラン敵視のサウジアラビアが受ける可能性はもとより低いが、前向きな姿勢を発信することで、国際世論を味方に付け、米軍との偶発的な武力衝突を回避する狙いだ。イラクやオマーンなどが仲裁役を申し出ており、さらに安倍晋三首相のイラン訪問を受け入れれば、緊張状態に一服入れられるとの計算が働く。

 ロウハニ政権が外交攻勢を強める背景には、国内の不満も大きい。経済的恩恵を主張して二〇一五年の核合意を主導した対外融和路線に対し、反米を基調とする保守強硬派からの風当たりは強い。国防や外交の最終決定権を握る最高指導者ハメネイ師は二十九日、ロウハニ師発言を受け「交渉は有害で利益がないと前にも述べた」と強調。体制内での矛盾があらわになった。

 イランに関する研究機関「アラブフォーラム」(エジプト)のモハメド・アブヌール代表は、体制内の意見対立について「米国に真意を測られないようにする交渉術」と指摘。一方で、「二〇年の次期米大統領選まで耐え忍ぶ戦略だったが、トランプ氏の再選の可能性が出てきた。不信感の強いハメネイ師は難しいが、ロウハニ師なら会談する余地はある」とみる。

 

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