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【国際】

韓国、来年から人口減に 出生率急激に低下 政府対策 効果なし

学習塾が密集するソウル・江南地区。進学、就職の激しい競争が出生率低下の原因となっている

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 韓国の総人口が来年から減少に転じるとの見通しを、韓国統計庁が発表した。高齢化も急速に進み、先進国の中では日本を抜いて首位になると予測。背景には出生率の急激な低下があり、韓国政府は抜本的な対策を求められている。(ソウル・中村彰宏、写真も)

 出生率と寿命を最も低く見積もった推計では、今年の五千百六十五万人をピークに減少に転じ、二〇三四年には五千万人を割って四千九百九十三万人まで総人口が減少。六七年には三千三百六十五万人まで落ち込む。三年前の推計では人口減少は二四年からとしていたが、想定よりも四年早く人口減が始まることになる。

 人口減とともに高齢化も進み、人口に占める六十五歳以上の割合は一七年の14%から、六五年には46%まで上昇する。国連の人口推計では、日本は一五年に26%で、六五年は36%。現在は日本のほぼ半分だが、六五年には韓国が10ポイントも上回る。

 統計庁は五年ごとに推計を出し、次回は二一年の予定だったが、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数)が予測より大幅に下がったため推計し直した。

 出生率は〇六年の一・一三から、一八年に初めて一を割って〇・九八まで低下。ソウル大人口学研究室の曹永台(チョヨンテ)教授は「人口がソウルに集中しすぎた地域構造に原因がある。進学や就職など競争が激しく、子どもを持つことを敬遠するようになった」と分析する。

 韓国はソウルを中心として、急速に経済発展を遂げてきた。その結果、多くの若者がソウルにある大学、企業を目指すようになり、現在は人口の約半分がソウルの首都圏に集中。不動産価格や教育費の高騰などを招き、結婚や出産がしにくい社会環境が生まれた。未婚女性の48%が「子どもがいなくてもいい」と感じているとの統計もある。

 韓国政府は、出生率低下に歯止めをかけようと〇六〜一八年に百三十兆ウォン(約十三兆円)をつぎ込み、保育園の拡充など子育ての環境を整える福祉政策に取り組んだが、効果がなかった。文在寅(ムンジェイン)政権も昨年十二月、幼児の医療費無料化など、出生率の低下に歯止めをかける政策を発表したが、「効果的」とする見方は少ない。

 曹教授は「短期間で出生率を回復させる方法はない。福祉ばかりの政策はすでに失敗した。このままでは三〇年ごろには年金制度も崩壊し、危機的状況に陥る。政府は地方を活性化させ、子どもを産み、育てやすい社会づくりに取り組む必要がある」と強調する。

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