東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

ベルリン開かずの空港「開港いつ?」 「2011年完成」から再三延期 総工費3倍

建設工事が進むベルリンの「ブランデンブルク国際空港」。後方が新ターミナル

写真

 着工から十三年−。ベルリンの新空港「ブランデンブルク国際空港」は、いまだに工事が続く「開かずの空港」だ。当初の開港予定は二〇一一年。空港設備のトラブルなどが相次ぎ、開港が再三延期されてきた。空港会社は来年秋の開港を目指しているが、視界良好ではなさそうだ。 (ベルリン・近藤晶、写真も)

 「皆さんが最も興味のある質問は『この空港がいつ本当に開港するのか』ということだと思う。私たちは来年十月に開港できると確信している」。空港会社のエンゲルベルト・リュトケダルドルップ最高経営責任者(CEO)は先月、報道陣を前に自信を見せた。

 新空港の建設計画が浮上したのは、東西ドイツ統一直後の一九九〇年。ベルリンにあるテーゲル、テンペルホーフ(いずれも旧西ベルリン)、シェーネフェルト(旧東ベルリン)の三空港を集約し、統一ドイツの新たな空の玄関口とする計画だった。

 テンペルホーフ空港は、旧ソ連が西ベルリンへの陸上交通を遮断した「ベルリン封鎖」(一九四八〜四九年)の際、米国主導で物資の大空輸作戦が行われた舞台。ただ、滑走路が短く拡張も困難なため、すでに〇八年に閉鎖された。

ベルリン新空港のターミナルでは、今も工事が続く

写真

 現在稼働するテーゲル、シェーネフェルト両空港もターミナルが手狭で、老朽化が進む。レストランや免税店は少なく、日本からベルリンへの直行便は就航していない。欧州最大の経済大国の玄関口としては見劣りする。

 待望の新空港はシェーネフェルトを拡張する形で、新たなターミナルと滑走路が建設された。度重なる開港延期を余儀なくされたのは、ずさんな工事管理と政治介入による設計変更が原因とみられている。

 一二年の二度目の延期の際には、火災時に作動するはずの自動排煙装置に問題があることが判明。開港式典のわずか一カ月前に延期が決まった。電源ケーブルが密集しすぎて発火する恐れもあった。独メディアは、当時のベルリン市長らで構成する監査委員会が、エアバスの二階建て超大型機に対応できるよう求めたため、ターミナルの設計変更に伴い「排煙システムもそれに適応させざるを得なくなった」と指摘している。

 その後も開港延期が繰り返された結果、空港会社によると総工費は当初の二十億ユーロから三倍の六十億ユーロ(約七千三百二十億円)にまで膨らんだ。空港会社にはベルリンとブランデンブルク両州が37%ずつ、連邦政府が26%を出資しており、破綻すれば税金が投入されることになる。

 空港会社トップのリュトケダルドルップ氏は「破滅的な建設工事を修正する必要があったが、建設工事はほぼ終了した。今後数カ月で技術的な検査を終えられるだろう」と、来秋の開港に楽観的な見方を示す。

 昨年のベルリン二空港の旅客数は約三千四百五十万人。今後二十年間で五千五百万人に増えると見込まれる。ベルリン商工会議所のヤン・エダー専務理事は「現在はアジアへの旅客の15%しか直行便を利用できていない。長距離路線を誘致したい」と期待を寄せる。

 ところが、報道公開の二日後、独誌シュピーゲルは、リュトケダルドルップ氏が四月に政府関係者らに「来秋の開港は完全には保証できない」と発言していたと報道。安全認証機関が報告書で一万件以上の設備の不備を指摘していたことも明らかになった。空港会社の広報担当者は「開港予定に変更はない」としているが、来秋の開港に向け再び暗雲が漂い始めている。

新空港のターミナル前で説明する空港会社のエンゲルベルト・リュトケダルドルップ最高経営責任者(CEO)

写真
写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報