東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

韓国で日本食ブーム 政冷食熱 脱サラ組参入

若者が集まるソウル・弘大地区の一角。日本料理店の看板が並ぶ

写真

 韓国で「日本食ブーム」が起きている。韓国国税庁によると、すし店や居酒屋などの日本食専門店は二〇一八年二月現在、約一万七千九百店で一四年の約一万三千店から四割近く増加。食文化の変化や日本への旅行客増加を背景に人気が高まり、韓国人が会社を辞めて開業するケースも増えている。 (ソウルで、中村彰宏、写真も)

 大学が集まり、若者が多いソウルの弘大(ホンデ)地区。その一角では日本語の看板が並び、日本の通りと見まがう風景が見られる。ほかにも韓国を代表する繁華街、江南(カンナム)地区などでも日本料理店が増え、今では至る所で日本食を味わえる。

 かつても日本食ブームはあったが、最近は日本の飲食店が進出する一方で、韓国人が日本食を学び、開業する店が増加しているのが特徴だ。

 ソウル市内にある日本食専門の料理学校「立つ園」は、一五年に開設。すしやふぐ料理など専門技術が必要な魚料理を中心に教え、受講生の創業も支援する。開校当初に年間百二十人ほどだった受講者は、一八年には百六十人に増えた。

 鄭有娜(チョンユナ)校長は「日本食は価格を高めに設定できて事業性も高いため、韓国料理よりも日本食で開業を目指す人が増えている。韓国では社内の会食など大人数で食べることが多かったが、たくさんの料理を少しずつ少人数で食べる文化が定着してきたことも日本食の人気が高まっている理由」と指摘する。

日本食専門の料理学校で魚のさばき方を教わる受講生

写真

 受講生は二十〜六十代まで幅広く、多くが脱サラして開業を目指している。四月から二カ月半のコースに通っている李賢準(イヒョンジュン)さん(41)は「美術関係の会社で働いていたが、前から日本食が好きで挑戦してみたいと思って会社を辞めた。まずは日本料理屋で働いて、将来は自分の店を持ちたい」と話す。

 日本食ブームは、日本への旅行者の急増が支えている。一八年に韓国から日本を訪れた旅行客は約七百五十万人で、一〇年の二百四十万人から三倍に増加した。日本政府観光局の調査によると、韓国人が日本を旅行する目的は、「日本食を食べること」が七割を超え、「ショッピング」などを抑えてトップ。「深夜食堂」や「孤独のグルメ」など日本の食や料理の番組が放映され、人気を集めていることもブームに一役買っている。

 江南地区で居酒屋「旅」を営む李鎬禎(イホジョン)さん(47)は、インテリア関係の仕事を辞めて開業。きっかけは東京で食べた北海道名物のスープカレーだった。「カレーでこんな味が出せるのかと驚いた。日本料理は、同じ料理でもさまざまな味を生み出す多様性が魅力。韓国に戻り、自分でもやってみたいと思った」と振り返る。

 客の多くが韓国人。「日本の味は韓国人にはあっさりしていたり、塩がきつかったりする。そのままの味ではなく、韓国人の口に合うように多少、味を変化させている」と話す。人気メニューの長崎ちゃんぽんも工夫を加え、辛めに仕上げているという。

 歴史問題などで日韓関係は過去最悪とも言われるが、日本では若い女性を中心に「第三次韓流ブーム」が起こり、韓国では日本食人気と、民間交流が阻害されている様子はない。鄭校長は「日韓関係の悪化は政治の問題。個人や民間レベルでは、影響はない。『日韓関係が悪いからすしは食べない』なんていう人はいないでしょう」と話した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報