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【国際】

トランプ氏の歯止め役、期待 イランが安倍首相訪問受け入れ

 【カイロ=奥田哲平】安倍晋三首相の十二日からのイラン訪問が決まった。イランが訪問を受け入れたのは、日本が伝統的な友好国である上、対立が続く米国との緊張緩和に役立つと判断したのが理由だ。対話を呼び掛け始めたトランプ米政権の真意を探る狙いもある。ただ、イランの米国不信は根強く、両者の橋渡しは容易ではない。

 今年で国交樹立九十周年を迎えたイランの対日感情は総じて好ましく、自動車や電化製品など日本製品への信頼感は高い。イランが一九五一年に石油国有化に踏み切った際、英国の海上封鎖をかいくぐって出光興産が「日章丸」で石油を買い付け、イラン国民が歓喜したのは有名な逸話だ。

 第二次大戦で米国から原爆を投下され、焼け野原から経済大国になった日本への尊敬の念も強い。欧米諸国がイラク支援に回ったイラン・イラク戦争の間も日本は中立的な外交関係を維持してきた。

 トランプ米政権に一方的に核合意を破棄され、経済制裁とペルシャ湾への軍事展開で締め付けられるイランにとっては、まずは米国との不用意な武力衝突を避ける必要がある。国家財政に悪影響が大きいイラン産石油の禁輸措置の解除も優先課題だ。

 その意味で、石油輸入国かつ米同盟国で、トランプ氏と親密な安倍首相は格好の仲介役と言える。日本から核合意維持への支持を取り付け、トランプ氏の歯止め役を担うのを期待する。

 ロウハニ大統領だけではなく、最高指導者ハメネイ師との会談が実現すれば、イラン側が訪問をより重視している表れだ。イランでは大統領は行政府の長の役割で、核開発を含む国防や外交の決定権は最高指導者にある。ハメネイ師の会談相手は、これまでロシアのプーチン大統領やトルコのエルドアン大統領らに限られている。

 ロウハニ師が先月下旬に制裁解除を条件に交渉を受け入れる可能性を示唆したのに対し、ハメネイ師は米国不信が強い。四日にはトランプ氏がイランの体制転換は求めないと述べたことに関して「ずる賢い政治ゲーム」と述べた。

 「緊張緩和」では日本もイランも一致しているものの、具体論に入ると歩み寄りは容易ではない。米政権は、弾道ミサイル開発停止やシリアからの撤退などを含めた「新たな取引」を求めるが、イランとしては受け入れがたいものばかりだ。安倍首相が単にトランプ氏のメッセンジャーなのか、同氏に妥協を促せる仲介役なのか、イランは慎重に見極めるとみられる。

 

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