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【国際】

香港、条例改正延期 「雨傘」再来懸念 政府動かす

 【香港=浅井正智、北京=安藤淳】香港政府が、犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例」の改正延期を決めた背景には、反対派市民が徹底抗戦の構えを見せる中、これ以上デモが激化すれば社会の混乱が修復不能になる懸念があった。米国との貿易摩擦を抱え、香港の人権問題で米国に対中カードを握られたくない中国政府も、延期容認に傾いたとみられる。

 改正延期を発表した十五日の記者会見で、政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は「重大な衝突が起き、負傷者まで出てしまったことに心を痛めている」と述べ、直接のきっかけが八十人近くの負傷者を出した十二日のデモだったことを認めた。

 当初、林鄭氏は若者たちの行動を「暴動」と非難し強硬姿勢を崩さなかった。だが、一部市民が食料や水の備蓄を始めるなど、デモが長期化する様相を見せ始めると、香港政府の姿勢にも変化が表れた。五年前の民主化運動「雨傘運動」では、約三カ月にわたって幹線道路が占拠されるなど都市機能がマヒしており、その再来は防ぎたかったはずだ。

 立法会の曽〓成(そぎょくせい)前議長は十四日、香港メディアに「政府が改正を推し進めようとすれば影響は計り知れない」と指摘。政府が改正を強引に進めれば、衝突がさらに激化する懸念は親中派からも出ていた。

 これまで強硬に条例改正を支持していた中国政府も姿勢を転じた。今月末の二十カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を前に、香港の人権問題が、これ以上国際社会の注目を集めることは、得策ではないと判断したとみられる。

 とりわけ米国の超党派議員が十三日に提出した香港関係法案は、延期容認に傾く要因になったとみられる。香港の「一国二制度」の状況に関する年次報告を米国務省に義務づけ、それに基づき香港に認める関税やビザ発給などの優遇措置の見直しを行うもので、実施されれば中国には痛手となるのは間違いない。

 ただ条例改正を撤回ではなく延期にとどめた判断には、共産党の指導や言論統制を強める習指導部が、国際社会の圧力に屈したというイメージを避けつつ、再び強硬姿勢に戻る可能性を残したい思惑も見え隠れする。

◆「あくまで撤回を」 民主派きょうデモ

 【香港=浅井正智】香港政府が逃亡犯条例の改正延期を決めたことに対し、立法会(議会)の民主派議員一同は十五日、「延期決定を受け入れない。あくまで撤回を求める」との声明を出した。民主派は十六日、予定通り香港中心部で大規模デモを行う構えだ。

 声明は、多数の負傷者が出た十二日のデモに触れ、林鄭月娥行政長官ら責任者の処分と拘束されている十一人の釈放も求めた。

 十五日、立法会近くにいた女性会社員(24)は「政府は延期などと言って、私たちをだまそうとしている。また改正案を出してくるに違いない」と話し、十六日のデモには「必ず行く」と強調した。

 ただ、デモを主催する民主派団体幹部の区諾軒(くだくけん)・立法会議員は十五日、「市民の中には『もう参加する必要はない』と考える人もいるだろう。(九日のデモのように)百万人を集める自信はない」とも述べ、延期決定で気勢をそがれる可能性を指摘した。

 

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