東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

撤回まで徹底的に闘う 香港デモ、根強い政府不信 冷めぬ熱

16日夜、香港で行われた大規模デモで「学生は暴動などしていない」と抗議のプラカードを掲げる参加者

写真

 「あくまで完全撤回を求める」−。十六日に香港中心部で行われた大規模デモで、市民たちはスローガンを叫びながら進む。香港の「一国二制度」の形骸化が進む中、犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案の審議延期が前日に発表され、市民の力で政府の強硬姿勢を押し戻した事実は大きい。だが市民の政府不信は根強く、完全撤回まで闘いを続ける固い決意を示した。 (香港・浅井正智、写真も)

 午後三時(日本時間同四時)前、デモ隊はビクトリア公園を出発。沿道の鉄柵がすぐに開放されたため、どっと人がなだれ込み、道路はあっという間に人の波に埋め尽くされた。息苦しいほどの熱気で、「盛り上がりは(主催者発表で百三万人が参加した)九日のデモ以上。この勢いで政府を追い詰めていく」と五十代の女性は言う。

 デモの力で政府に方針を変えさせた高揚感が漂う。その一方で、中国政府に追従する香港政府への不信感は拭いがたい。女性会社員(24)は「政府はいつ改正案を提出してくるかわからない。再提出してきたら、撤回するまで徹底的に闘う」と気持ちを引き締める。

 参加者には若者の姿が目立つ。五年前の「雨傘運動」が失敗に終わった後、若者の間に無力感が広がり、政治的無関心が増えたと言われた。しかし男子大学生(19)は「今、声を上げなければ、香港の自由が本当になくなってしまう」と危機感を口にした。

 今回の特徴は、雨傘運動のような学生リーダーがいないことだ。「条例改正案撤回という目的を共有する人が声を掛けあっているだけ」と、十二日のデモにも参加し催涙弾を浴びたという男子大学生(22)は言う。通信アプリ「テレグラム」を使って数万人単位で連絡を取り合い、デモに集まってくるという。

 白いカーネーションや菊の花を手にしながら行進する参加者も多く見られた。香港メディアによると、十五日夜、立法会近くのビルで三十五歳の男性が転落死した。条例改正案が撤回ではなく延期にとどまり、抗議の自殺をしたとみられており、追悼の意を表すための花だ。条例改正問題にからむ最初の死者で、「暴政がついに人を殺してしまった」(六十三歳男性)ことは、参加者の怒りと悲しみを誘っていた。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報