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【国際】

サウジ 軍拡路線拍車 タンカー攻撃「イラン犯行説」同調

 【カイロ=奥田哲平】イラン沖のホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃を巡り、イランと対立するサウジアラビアが、米国の主張する「イラン犯行説」に早々と同調し、強硬論に拍車を掛けている。イランと敵対するサウジは最近、トランプ政権の甘い対応に乗じて軍備拡大や核関連活動を推進する姿勢が顕著になっている。

 タンカー攻撃を受け、ムハンマド皇太子がイラン関与を断定した十六日、国営通信はサウジ空軍のF15戦闘機が米空軍機と編隊飛行する映像を公開。ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は十五日、ツイッターで「エネルギー供給や市場の安定性への脅威に対し、迅速かつ徹底した対応が必要だ」と述べた。

 イスラム教スンニ派の盟主サウジは、シーア派大国イランと対立し、二〇一六年に国交を断絶。イエメン内戦でイランと「代理戦争」を続ける。一五年のイラン核合意で経済的利益を得たことが、シリアなどでの勢力拡大を招いたと批判。米政権に強硬策を働き掛けるとともに、自国の軍備拡大を図ってきた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は七日、米政権が防衛産業大手レイセオンに対し、サウジ国内で精密誘導爆弾の部品製造を許可したと伝えた。安全保障の観点からこれまで保護されてきた先端技術を含むという。

 軍事技術の調達先は同盟国の米国にとどまらない。米CNNテレビは六日、サウジが中国からの技術支援で弾道ミサイル開発を加速していると報道。既に首都リヤド西二百三十キロの軍事基地に製造工場を建設したとされる。

 サウジに大量の武器を売却する米国でさえ弾道ミサイル技術は供与していない。国際的なミサイル関連技術輸出規制「MTCR」に反するからだが、中国は非加盟だ。

 弾道ミサイル開発が発覚したことで核兵器開発への疑念も膨らむ。サウジは今後二十年間で原発十六基を「平和目的」で稼働させる計画。ムハンマド皇太子は昨年三月に「イランが核兵器を開発すれば、すぐに追随する」と対抗心を隠さない。

 核拡散への懸念が高まる中、原発輸出を目指す米政権は今年三月、米企業が原子力技術の一部をサウジに移転するのを承認した。

 アラブ外交に詳しいレバノン紙アンナハルの編集委員モナリザ・フレーハ氏は「サウジは、ミサイル開発停止を含む譲歩をイランが受け入れることが唯一の解決策と考えている。実現しない場合、サウジもイランと同等かそれ以上の軍事力保有を目指し(軍拡)競争を続けるだろう」と話す。

 一方、サウジの「アラブ世紀調査研究センター」のサアド・ビン・オマル代表は「ミサイル工場建設はいかなる国際法にも違反しておらず、海外メディアの過剰反応だ。イランへの対抗だけでなく、安全保障に必要な軍事力を向上させているにすぎない」と反論する。

 

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