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【国際】

ロシア投票権回復 波紋 欧州評議会 賛成多数で決定

 【モスクワ=栗田晃】人権や民主主義などの確立を目指し、47カ国が加盟する欧州評議会(フランス・ストラスブール)の議員会議(PACE)は25日、2014年のウクライナ南部クリミア半島併合以降、続けてきたロシア代議員18人の投票権停止の解除を賛成多数で決定した。ロシア側は制裁解除に向けた一歩になると歓迎する一方、ウクライナ側は「許容できない譲歩だ」と猛反発しており、欧ロ関係の新たな火種となりそうだ。

 ロイター通信などによると、独仏が投票権回復を支持し、賛成一一八、反対六二で可決。ロシアが脱退した場合、ロシア国民が欧州人権裁判所に訴える権利を奪われることも考慮された。投票権回復にあたりロシアに対して、昨年十一月にクリミア半島周辺で拘束したウクライナ船員の解放、性的少数者の権利擁護なども求めた。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は「常識の勝利だ」と歓迎。ただ欧州連合(EU)は今月二十日、対ロ制裁の継続を決定しており、対ロ融和姿勢に急旋回したわけではない。ペスコフ氏は「欧州がクリミアに対する立場を変えるまで、忍耐強く説明を続ける」と今後の局面転換を期待した。

 ロシアは投票権が回復しない場合、欧州評議会からの脱退も示唆していた。ロシアの要望が認められた背景には、評議会の年間予算の7%を占め、ロシアが一七年から支払いを拒否している分担金計九千万ユーロ(約百十億円)を失うことに対する懸念もあったとされる。ウクライナ外務省は「ロシアから前例のない圧力と財政的などう喝により、欧州評議会の基準や原則から逸脱した」と非難した。

 五月に就任したウクライナのゼレンスキー大統領は今月中旬、メルケル独首相、マクロン仏大統領と相次いで会談し、ロシアのPACE復帰を認めないよう要望していた。ゼレンスキー氏はフェイスブックで「決定に落胆している。われわれの意見を聞かずに、別の道を選んだのは残念だ」と述べた。

 ウクライナ国内では、就任したばかりのゼレンスキー氏の外交手腕に対する批判も出ている。ポロシェンコ前大統領はウクライナメディアで「信じられないことが起きた。ゼレンスキー政権の不手際だ」と批判。二十八、二十九日に開かれる二十カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)のメンバーに対し、ロシア包囲網の再構築を働き掛けるよう新大統領に要請した。

<欧州評議会> 人権、民主主義、法の支配の確立を目指し1949年に設立。欧州連合(EU)全加盟国の他ロシアやトルコなど47カ国(18年11月時点)が加盟、日本もオブザーバー参加している。EUの欧州議会や欧州理事会とは別の組織。

 

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