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【国際】

壮大な演出 見極め必要

<解説>

 朝鮮戦争の休戦以降、七十年近く南北を分断していた軍事境界線を、トランプ米大統領は三十日、いとも簡単に越えた。現職米大統領による「歴史的な一歩」だ。トランプ氏は、ツイッターでの金正恩朝鮮労働党委員長への再会呼びかけを「ふと思い付いた」と言い切り、正恩氏もそのツイートを見て「本当に驚いた」と歩調を合わせた。両首脳はこれが情報化時代のトップ外交だ、と言わんばかりに、壮大な政治ショーを演出したといえるだろう。

 二年前、両首脳は戦争の瀬戸際に自ら追い込んでいた。正恩氏は核実験や長距離弾道ミサイル発射を繰り返し、トランプ氏は軍事力行使で北朝鮮の「完全破壊」も辞さない構えをみせた。当時に比べれば北東アジアの安全保障環境が劇的に改善されたのは間違いない。三度にわたり、直接対話を繰り返す両首脳の姿勢自体は評価すべきだろう。

 一方で、対話の本来の目的である「朝鮮半島の完全な非核化」に向けての交渉は全く進展していない。二月のハノイでの首脳会談が決裂して以降、実務者レベルでの接触すら途絶えた。北朝鮮による核廃棄が先行すべきか、米国などによる経済支援が先かを巡り、交渉が停滞する構図は、両国関係が悪化する以前から全く変わっていない。

 今回の一歩が政治的パフォーマンスに終わらず非核化に向けた実質的な交渉につながるかどうか。二〜三週間後に再開される非核化の実務協議を見極めていく必要がある。 (アメリカ総局長・岩田仲弘)

 

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