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【国際】

香港、暴力行為に市民賛否 平和的デモと一線、運動離れ懸念

2日、香港の若者らが突入し割られた立法会のガラス=共同

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 【香港=浅井正智】犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例」改正を巡り、香港で一日、デモ隊の一部が立法会(議会)のガラスを破壊して内部になだれ込み、二日未明、警官隊が催涙弾を使って強制排除する事態となった。政府によると、約六十人が負傷。条例改正を事実上の廃案に追い込んだのは平和的な抵抗運動だっただけに、今回の暴力行為によって一般市民の支持が離れていく可能性もある。

 強制排除から一夜明けた二日午後、立法会を訪れると、デモ隊に破壊され、ヒビが入ったガラスがそのままになっていた。ロビーの壁に「建制下台(親中派は辞めろ)」とスプレーで落書きしてあるのが外から見える。

 その場にいた民主派の李卓人(りたくじん)・前立法会議員は「政府は改正案撤回や林鄭月娥(りんていげつが)行政長官の辞任など、市民の要求に何も応えていない。その失望が立法会占拠につながったと思う」と一定の理解を示す。

 一般市民の反応は微妙だ。「何らかの行動を起こす必要はあるが、暴力的なやり方は賛成できない」(二十五歳男性)「占拠は香港人の決意を示したが、それでわれわれの要求が通るチャンスはごくわずかだ」(二十二歳男性)と、全面的に支持する声は少ない。

 デモ隊は歴代議長の肖像画を壊すなど、手当たり次第に破壊を行ったという。同日の記者会見で、梁君彦(りょうくんげん)議長は「今後二週間は会議の開催は不可能だ」と述べた。

 林鄭氏は「法律など眼中にない暴力行為は、香港の法治に重大な影響をもたらす」と語り、徹底的に責任を追及すると表明した。

 一方、今回の騒動を巡っては不自然さを指摘する声もある。デモ隊が立法会に突入したのは一日午後九時(日本時間同十時)ごろ。警官隊は衝突を避けるため退避しており、強制排除が始まる二日午前零時ごろまで三時間も事実上の無法状態だった。

 李氏は「警察は突入をあえて止めようとしなかった。当局には世論を変える目的もあった」と指摘。破壊行為をメディアを通じて世界に発信しようと仕向けたとみる。デモ隊に親中派が紛れ込み、挑発を仕掛けたとのうわさも根強く残る。

 仮にそうでも数百人が立法会を占拠し、破壊行為に走ったのは事実。「極端な暴力を使って立法会に突入した」(林鄭氏)と指弾されても反論の余地はない。

 平和的なデモで政府に条例撤回を迫ることが、運動の参加者の共通認識だったと言える。今回の件で嫌気が差し、一般市民が距離を置くようになれば、辞任要求を突き付けられていた林鄭氏にとって巻き返しを図るまたとない好機となる。

 

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