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【国際】

独政治家殺害、極右の影 過激化、2市長脅迫も

 ドイツで難民支援に関わった地方政治家が殺害される事件が先月起き、容疑者に極右組織とつながりがあった疑いが浮上した。捜査当局は、極右思想を背景とした政治的な動機に基づく犯行とみて捜査している。事件後も複数の市長に殺害の脅迫が相次いでおり、極右の過激化に懸念が高まっている。 (ベルリン・近藤晶)

 殺害されたのは、メルケル首相の与党、中道右派「キリスト教民主同盟(CDU)」に所属し、西部ヘッセン州のカッセル行政管区長を務めていたワルター・リュブケ氏(65)。六月二日、州北部の自宅テラスで至近距離から頭部を撃たれ、死亡しているのが見つかった。捜査当局は十五日、四十五歳の男を逮捕した。

 リュブケ氏は、二〇一五年にメルケル氏が進めた難民受け入れを支持する姿勢を示し、反対派から脅迫を受けていた。独メディアは、男が過去に難民施設の襲撃に関与し、極右組織で活動していたと指摘。一八年には動画投稿サイトに殺害予告ともとれる投稿をしていたという。

 ドイツでは多数の難民が流入した一五年以降、反難民の世論が高まり、一七年の総選挙で難民・移民の排斥を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第三党に躍進していた。事件の背景には、政権の難民政策への不満の広がりがあるとみられ、ネット上では犯行を称賛するような書き込みも相次いだ。

 さらに、独西部のケルンとアルテナ両市長もリュブケ氏殺害事件の後、殺害の脅迫を受けていたことが明らかになった。二人はいずれも難民受け入れに関わり、過去に極右関係者に襲撃されたことがあった。シュタインマイヤー大統領は事件の早期解明を求め、「彼らはあらゆる形の暴力から守られなければならない」と訴えた。

 独連邦刑事庁によると、政治家ら公人を標的とした刑事事件の総数は昨年で千二百五十六件。このうち暴力犯罪は四十三件で、総数の約四割が右翼的な動機によるものだった。

 右翼過激主義や人種差別、反ユダヤ主義の撲滅を目指す「アマデウ・アントニオ財団」のティモ・ラインフランク理事長は「難民危機以降、極右の過激化が顕著になっているのに、当局は(脅威を)過小評価している」と批判する。極右関係者に対し、逮捕状が出されたのに執行されていないケースも多数あるという。

 ラインフランク氏は「彼らはいつでも攻撃を実行することができる。リュブケ氏の事件は極右への合図になった」と警鐘を鳴らしている。

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