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【国際】

対米交渉「核武力完成後に」 北、緊張の裏で戦略

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 【北京=城内康伸】北朝鮮が二〇一七年九月に六回目の核実験を強行した直後に南西部・黄海北道沙里院(ファンヘプクトサリウォン)市で行われた、講演会の記録を本紙は入手した。講演者は「国家核武力」が完成すれば米国と交渉する、と明言していた。北朝鮮が核とミサイルの開発にまい進し、米国と激しく対立していた当時、核抑止力の完成を前提にして米朝交渉に乗り出す戦略を、既に立てていたことが初めて確認された。

 講演記録によると、講演会は九月二十二日ごろ、沙里院市の工場で開かれ、従業員ら数百人が参加。講演者は「朝鮮労働党中央委員会講演講師」と自己紹介していた。労働党の最高機関である中央委員会から派遣された幹部とみられる。

 北朝鮮は同月三日、六回目の核実験を実施し、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)に装着できる水爆の実験」に成功したと発表していた。講演者は「これとは別に、世界が知らない威力あることが起きる」と予告した。十一月二十九日のICBM「火星(ファソン)15」発射実験を示唆したとみられる。金正恩(キムジョンウン)党委員長はこの試射を受けて、「国家核武力の完成」を宣言した。

 講演者は「核武力が完成すれば米国と談判する。われわれの要求は(朝鮮戦争の休戦協定を転換し)平和協定を締結することだ」と強調。「平和協定が締結されれば、その日午前零時までに、南朝鮮(韓国)の駐留米軍は撤収しなければならなくなる」と付言していた。

 さらに、講演者は「元帥様(正恩氏)の意志は、朝米対決七十年の歴史を終わらせる時が来た、ということだ」と話し、核・ミサイル開発の完了を急ぐ意義を説明している。

 正恩氏は一八年元旦の演説で、前年までの核・ミサイル開発の成果を振り返った上で、「米国はわが国に戦争を仕掛けることができない」とけん制。対米関係に関する具体的な要求は行わなかった。同年三月に韓国を介して米朝首脳会談を提案。トランプ米大統領が応じたことで同年六月、シンガポールで初の会談が実現した。

 

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