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【国際】

<メディアと世界>ミャンマー、告訴急増 総選挙にらみ国軍批判抑える狙い

 ミャンマーで今年、国軍が記者や市民を告訴するケースが急増していることが、地元市民組織の調査で分かった。来年の総選挙をにらみ、国軍への批判を抑える狙いがうかがえる。国軍兵士らによるイスラム教徒少数民族ロヒンギャの殺害事件の取材に絡み、実刑判決を受けたロイター通信記者二人は五月に恩赦で釈放されたが、報道の自由は改善していない。 (バンコク支局・北川成史)

 表現の自由を求める市民でつくる活動家組織「アサン」によると、アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる国民民主連盟(NLD)政権が誕生した二〇一六年春から今年六月に、国軍は英国植民地時代に制定された非合法結社法違反罪などで、記者や市民活動家ら七十七人を告訴。約四割が今年四〜六月に集中しているという。

 国軍は四月、西部ラカイン州での仏教徒少数民族武装勢力との戦闘の記事を巡り、ネット上の名誉毀損(きそん)などを取り締まる電気通信法違反罪で、ニュースサイト「イラワジ」の編集者を訴えた。

 六月には、東部カヤ州で国軍の土地収用に対する農民らの抗議を取材した放送局「DVB(ビルマ民主の声)」などの記者三人を住居や敷地の安全を守る法律違反の罪で告訴している。

 ミャンマーでは一七年、国軍兵士らがラカイン州でロヒンギャ十人を殺害した事件を追っていたロイター記者二人が、治安部隊の極秘資料を警察から入手したとして、国家機密法違反の疑いで逮捕された。

 裁判で警察官が「わな」と証言したにもかかわらず、二人は禁錮七年の実刑判決を受けた。約十七カ月の勾留の末、今年五月に大統領恩赦で釈放されたが、二人が明るみに出したロヒンギャ殺害事件で、軍事法廷で懲役十年の判決を受けた兵士ら七人が、一年未満で釈放されていたことが判明。公平性の欠如が浮かぶ。

 国軍は憲法で国会議席の四分の一を与えられるなどの特権を持つ。少数民族との内戦終結で国軍の協力を得たいNLD政権は、ロヒンギャ迫害問題でも国軍に強く出ない。来年の総選挙で軍系政党が勢力拡大を目指すこともあり、国軍の抑圧姿勢が加速している。

 アサンのサウンカ氏は「ロイター記者らの釈放は国内外の圧力があったからというだけ。政府や国軍は、完全な報道の自由を与えたくないようだ」と憤る。

 国際人権団体「アーティクル19」のマシュー・バーガー氏は「人権擁護を公約にしてスー・チー氏の政府は発足した。言論を抑圧する国軍を押し返し、法制度の改革を講じるべきだ」と主張している。

 

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