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【国際】

米−イラン イラク仲介 必需品供給枠組み提案

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 【カイロ=奥田哲平】米国とイランの対立が深刻化する中、イラクが緊張緩和に向け、イランに一定量の石油輸出を認める代わりに必要物資を供給する枠組み「石油・物資交換プログラム」を両国に提示していることが分かった。イラクの複数の国会議員が本紙の取材に明らかにした。ホルムズ海峡付近を航行するタンカー襲撃事件などが相次いでいるだけに、実現可能性は不透明だが、水面下で外交解決を模索している。

 イラクはイランと同じイスラム教シーア派が多数派を占め、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を通じて親イラン勢力が拡大。その一方で、駐留米軍を置く米国とも関係が深い。アブドルマハディ首相は、イラクを舞台に偶発的な武力衝突が起きるのを懸念、緊張緩和の仲介に乗り出しているもようだ。

 仲介プログラムは、イラクが一九九〇年のクウェート侵攻後、フセイン旧政権に対する経済制裁で苦しんだ国民生活を救済する国連の「石油・食料交換計画」を参考にした。

 イランが日量百五十万バレルを輸出し、販売代金をイラク中央銀行の口座に預ける内容。イランは代金を生活必需品の購入のみに充てることができる。

 イラク政府は五月以降、両国に提案。石油の全面禁輸制裁を受けるイランは輸出を再開でき、米国はイラクを通じてイランの資金移動を監視し、中東各地に広がる親イラン民兵組織への財政支援を止められる利点がある。

 ただ、今のところ具体的な交渉につながる兆候はみられない。ある国会議員は六月上旬の時点で「米イランともに提案に前向きだ」と話していたが、別の議員は「その後のタンカー攻撃が影響し、武力衝突の回避を呼び掛けることが優先されている」と打ち明けた。

 トランプ政権は軍事行動も辞さない強硬姿勢を崩さず、イランの最高指導者ハメネイ師も「やりとりを行うに値しない」と交渉を拒否。歩み寄りは難しい状況だが、ガセム・バハティ国会議員は「米国はイランを攻撃しても良い結果をもたらさないと理解している。両国ともに妥協する環境は整いつつある」と期待感を示した。

 九六〜二〇〇三年に実施されたイラクの「石油・食料交換計画」を巡っては、参入企業がフセイン政権幹部や国連高官に賄賂を渡す不正事件が相次ぎ発覚。計画の枠外での石油密輸も横行するなど「国連最大のスキャンダル」とされた。

 

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