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【国際】

サウジへ武器輸出、欧米で歯止め模索 イエメン内戦で人道批判

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 【ロンドン=藤沢有哉、カイロ=奥田哲平】サウジアラビアへの武器輸出に歯止めをかけようとする動きが欧米で広がっている。「世界で最悪の人道危機」と言われるイエメン内戦で、サウジが欧米の武器を使っているとの批判が強いためだ。米下院は十七日、サウジなどへ武器供与する政府決定に反対する決議案を可決。先月には、英政府が違法判決を受けて輸出許可を一時停止している。

 「われわれの価値観が外交政策を導くという強いメッセージになる」

 ロイター通信によると、米下院外交委員会のエンゲル委員長(民主党)は、サウジを含む三カ国に約八十一億ドル(八千八百億円)相当の武器を供与する政府決定を認めない決議案への支持を、こう呼びかけた。

 米国では五月、イランの脅威で緊急を要するとしてトランプ政権が議会の承認なしに武器売却を決定したが、上院が六月下旬に反対する決議案を可決。下院も続いたが、トランプ氏は拒否権を行使する構えだ。

 一方、英国では六月下旬「国際的な人道法違反をしているか検討していない」とし、英政府がサウジへの武器輸出を企業に許可するのは違法との判決が出た。政府は新規の輸出許可の一時停止を決めたが、原告の「反武器輸出運動」(CAAT)広報担当アンドルー・スミスさんは「西側諸国は武器供給で、イエメンでのサウジの残虐行為に加担している」と訴える。

 サウジが推すハディ暫定政権と親イランの反政府組織フーシ派が対立するイエメン内戦は二〇一五年春、サウジ主導のアラブ連合軍が介入して泥沼化した。国連によると、一万七千人超の民間人が死傷し、国民の約三人に一人にあたる約一千万人が飢えに苦しむ。

 イランから軍事支援を受けているとされるフーシ派に対抗し、サウジは戦闘機やミサイルを欧米などから調達。スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所」の推計によると、二〇一八年までの五年間で約百六十八億ドル(約一兆八千億円)相当の武器を輸入したが、ほとんどが欧米製で、全体の68%は米国製、16%が英国製だった。

 各国は貿易促進などを背景に輸出を続けてきたが、昨年十月のサウジ人ジャーナリスト殺害事件でサウジへの批判が強まると、見直す動きが加速。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」や英メディアによると、昨年秋にデンマークやフィンランド、ノルウェーなどが新規の輸出許可を停止。ドイツは同様の対応の半年間の期間延長を今年三月に決めた。

 一連の動きにCAATのスミスさんは「大きな変化には米英の行動が必要だ」と主張した。

 

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