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【国際】

トランプ氏の威光かさに イバンカさん、気ままな外交

6月29日、G20大阪サミットの女性活躍推進イベントに出席した安倍首相(左)、トランプ米大統領(右)とイバンカ氏=ロイター・共同

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 トランプ米大統領の長女イバンカ氏の外交舞台での露出が際立っている。肩書は単に「大統領補佐官」だが、先月末に大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、各国の首脳との会話に堂々と割り込み、歴史的な板門店(パンムンジョム)での米朝首脳会談にも同席。外交経験の乏しい「ファースト・ドーター」の奔放な振る舞いに困惑や批判が広がっている。 (ワシントン・岩田仲弘)

 「マイク、イバンカ、こっちへ来いよ。(呼べば)彼女は話題をさらっちゃうけどな」。先月三十日、韓国・烏山(オサン)の米空軍基地。トランプ氏は兵士激励の場にポンペオ国務長官とイバンカ氏を呼び寄せた。現職大統領として史上初めて南北軍事境界線を越えた直後で、興奮冷めやらない中、並んで歩み寄ってくる二人に「なんてすてきなカップルだ。まるで美女と野獣だな」と軽口をたたいた。

 訪韓に先立つG20サミットでも積極的に活動した。その度胸はたいしたもので、フランスのマクロン大統領、英国のメイ首相、カナダのトルドー首相、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が立ち話をしている際、会話に飛び入り参加した。ラガルド氏が困惑した表情をみせた様子を収めたビデオがインスタグラムに投稿されると、「場違いだ」といった批判とともにたちまち拡散した。

 驚いたのは、投稿したフランス大統領府。米政治専門サイト「ポリティコ」によると、雑談はイバンカ氏が主賓としてスピーチした女性の地位向上に向けた行事の直前だったと、仏大統領府が釈明。「こんなに反響があるとは思わなかった」と困惑していたという。

 ホワイトハウスは確かに、イバンカ氏の役割を「女性の教育と経済的エンパワーメント(力を発揮すること)、職業訓練などを通じた雇用創出」としている。各国首脳との会話は、そのややあいまいな役割の延長とも受け取れるが、イバンカ氏は、サミット中に開かれた日米とインドの三カ国首脳会談で異例ともいえる動画会見も行っている。

 会見では中身が乏しい上、インドを「重要な同盟国」と説明。米政府はインドを重要な戦略的パートナーと位置付けているものの、対外的に同盟国という呼称は避けているため、ワシントン・ポスト紙(電子版)は「外交で不慣れな一面がのぞいた」と指摘した。

 二〇一七年一月の発足以降、トランプ政権で閣僚や高官の辞任・解任が相次ぐ中、イバンカ氏は夫ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問とともに影響力を保持し続ける数少ない政権幹部で、米メディアは二人を「ジャバンカ」と呼ぶ。

 二人と確執があったとされるバノン前首席戦略官兼上級顧問やケリー大統領首席補佐官らは相次ぎ政権を去った。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)との折り合いも悪いとされている。「ジャバンカ」が米朝首脳会談に同席した際、ボルトン氏がモンゴル出張で不在だったことも、両者の関係を巡りさまざまな臆測を呼んだ。

 トランプ氏はこれまで「身内びいきと非難される」としながらも、イバンカ氏を国連大使や世界銀行総裁に起用することを検討。イバンカ氏を「生まれながらの外交官」と自慢している。

 だが、トランプ氏と激しく対立する民主党のオカシオコルテス下院議員はツイッターで「誰かの娘であることは、キャリアとして認められることではない。米外交の評判を傷つけるだけだ」と批判している。

 歴代政権の統治や高官人事に詳しいブルッキングズ研究所のキャスリン・テンパス上級研究員は「大統領の側近が、実質的な専門知識や経験がないのに多くの異なる分野で助言するのは異例」と指摘。「大統領がそれだけ専門性や経験よりも忠誠心を求めていることを示している」と話す。

 

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