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【国際】

正恩氏が重視するリゾート開発事業 賃金未払いで労働放棄も

北朝鮮の江原道・元山葛麻海岸観光地区の建設現場を視察する金正恩朝鮮労働党委員長。日時は不明。朝鮮中央通信が2019年4月6日報じた=朝鮮通信・共同

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 【北京=城内康伸】北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が力を入れる建設事業で、企業や工場から動員された労働者に対する賃金の未払いが今春から継続していると、複数の北朝鮮関係筋が明らかにした。「国際社会の制裁の影響で、事業資金が不足していることが原因とみられる」と同筋は話している。

 関係筋によると、日本海に面する東部江原道(カンウォンド)の「元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」と、中朝国境の白頭山(ペクトゥサン)のふもとに位置する北部両江道三池淵(リャンガンドサムジヨン)郡の少なくとも二カ所の整備事業で、賃金未払いが発生。事業資金をまかなう労働党財政経理部が資金不足に陥り、各地の企業や工場などの労働者の派遣元に賃金を支払えない状況が続いているという。

 また、建設現場では、軍から動員された兵士に食料が優先的に支給され、後回しにされた民間労働者への支給が停滞。このため、民間労働者の間では「腹が減って働けない」との不満が募り、労働を放棄して、所属元の企業や工場に引き揚げる事態が起きたとされる。

 元山葛麻海岸観光地区は、正恩氏が「一番やりたかった事業の一つ」と語るほど力を入れている大規模リゾート建設事業。しかし、正恩氏は当初、今年四月十五日の故金日成(キムイルソン)主席の誕生記念日までとしていた完成時期を二度にわたり延期し、来年四月までに完成するよう指示した。経済制裁の影響で、建設が遅れている可能性がある。

 北朝鮮では、三池淵郡は故金正日(キムジョンイル)総書記の出生地がある「革命の聖地」とされている。別の北朝鮮消息筋は「事業資金の不足を補うため、海外の駐在員も、後援金の提供が求められている」と指摘する。

 本紙が入手した、昨年十二月に作成された北朝鮮の内部資料は、三池淵の整備事業について「全党的、全国家的、全人民的事業」と強調。「敵対勢力に鉄ついを下すための先鋭な階級闘争」と定義し、「われわれが困難に処し、不足があっても、必要な設備と資材を優先的に保障しなければならない」と訴えている。

 

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