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【国際】

有志連合に各国慎重 米イラン対立 巻き込まれたくない

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 エネルギー供給の大動脈ホルムズ海峡などで民間船舶を守る米主導の有志連合構想に対し、関係国などで慎重な対応が目立っている。米国とイランの激しい対立構図に巻き込まれる懸念があるためだ。英国は欧州主導の態勢構築を目指すが、欧州連合(EU)離脱後の対米関係も見据えた対応を迫られそうだ。 (カイロ・奥田哲平、ロンドン・藤沢有哉)

■包囲網

 ホルムズ海峡はイラン、オマーン間の海域でペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ。世界の原油の二割が通過し、このうち八割が日中韓やインドなどアジア向けだ。米政府は二十五日に六十カ国以上を招き、有志連合に関して二度目の説明会を開催。ポンペオ国務長官は日韓や英仏独を名指しして参加を迫った。

 海峡周辺では六月に日本のタンカーなどが何者かに攻撃され、米軍無人偵察機がイランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」に撃墜された。そんな緊迫から提案された有志連合は参加国の艦船による民間船舶護衛が中心で、「対イランの軍事連合ではなく、海賊の監視能力向上が目標」(米国防総省高官)とされる。だが、実際はイラン包囲網構築の狙いが色濃い。

■軍事衝突懸念

 ペルシャ湾では二〇〇四年から、米中央軍傘下の第五艦隊(司令部・バーレーン)を中心に、英国や湾岸諸国の海軍による「合同任務部隊(CTF)152」が警戒に当たる。有志連合はこれを拡大した形とみられ、「ペルシャ湾を守るのはイランと周辺国の責任」(ロウハニ大統領)と訴えるイランが「敵対行為」と見なす可能性がある。

 そのため、六月中旬から艦船二隻を派遣して自国タンカーを護衛するインドは、有志連合に参加しない方針。中国に次いで二番目に大きいイラン産原油の輸出先であり、政治的関係も深いイランとの対決姿勢を避ける考えだ。

 スペイン紙パイス(電子版)によると、スペイン海軍のフリゲート艦は、共同訓練の目的で同行していた原子力空母エイブラハム・リンカーン中心の米軍空母打撃群から離脱した。リンカーンが五月から中東地域に派遣されたため、偶発的な軍事衝突を懸念したとみられる。

■英は板挟み

 一方、英国は米国と「特別な関係」を築くが、ホルムズ海峡を巡っては、二十二日、欧州主導の船舶保護態勢の構築を目指す方針を表明した。イラン核合意の崩壊を防ぐため、米主導の有志連合とは一線を画して、同じく合意に残る仏独などと協調する姿勢だ。

 新外相のラーブ氏は英BBCラジオで二十九日、この方針の継続に言及。ただ、「欧州主導の行動も米国の支持は大切だ」とも述べ、米主導の有志連合との“補完関係”を強調した。

 ロイター通信によると、英国の欧州主導の船舶保護構想に対し、フランスやデンマーク、イタリアなどが賛意を示している。

 ただ、エジプトの軍事評論家ザカリヤ・フセイン氏は「現場では米軍と協働しながら運用せざるを得ない」と、有効性の確保には米軍が不可欠と強調する。

 一方、英プリマス大のクリスチャン・エメリー講師(国際関係)は英国に関して、EU離脱が絡んだ難しい立場を指摘。「英政府は、欧州主導の船舶保護は米国のイランに対する圧力政策の一部にはならないと言った。一方で、英国のジョンソン新首相がEU離脱後に楽観的なのは米国との緊密な関係があるからで、英政府は米国との衝突はためらうだろう」と解説した。

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