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【国際】

INF廃棄条約が失効 核軍拡競争の恐れ

 【ワシントン=金杉貴雄、モスクワ=栗田晃】冷戦期からの核軍縮の柱だった中距離核戦力(INF)廃棄条約が二日、失効した。歯止めが失われ、軍拡競争が米ロから世界に広がっていく恐れがある。米国は中国への対抗で、在日米軍基地も地上配備型の中距離ミサイル配備を選択肢としており、日本への影響も大きい。新たな軍縮交渉のめどはたっていない。

 ポンペオ米国務長官は二日の声明で、ロシアが条約に違反し続けたとして「条約崩壊はロシアに責任がある」と非難した。ロシア外務省も二日、条約失効を正式発表。プーチン政権は米国に対応し地上発射型の中距離ミサイルの開発、配備を進める考えで、リャプコフ外務次官はロシアメディアに「すべての選択肢は机上にある」と警告した。

 INF廃棄条約は一九八七年に米ソが締結した史上初の特定兵器全廃条約。核搭載可能な地上配備の射程五百〜五千五百キロの中・短距離ミサイルの保有を禁じた画期的内容だった。

 米国のトランプ政権は、核軍縮とは正反対の方向に進む。昨年には新たな核戦略を公表。ロシアや中国への対抗として比較的威力が小さい「使いやすい核」の開発を進める方針を示した。

 米国が最も意識するのは、二千発以上の弾道・巡航ミサイルを保有する中国だ。「核心的利益」とする台湾や南シナ海などの周辺から米軍を排除しようとする中国を抑えるには、海上や空からの武器に加え、条約で縛られてきた地上ミサイルをアジアに導入する必要があるとしている。

 グアム以外では地上ミサイルの配備先は、中国の圧力を受けやすい東南アジアや韓国より、日本の米軍基地が最有力との見方がある。実際に配備する場合は地元の反発も予想される。

 ロシアの軍事評論家によると、米国が中距離ミサイルをアジア太平洋地域に配備した場合、ロシアも極東にミサイルを配備する可能性がある。プーチン政権は米国のミサイル防衛(MD)網を突破する極超音速ミサイルなど最新兵器の開発も促進する方針。

 トランプ政権は二日、中国を含めた三カ国の軍縮交渉を呼び掛けたが、中国は応じる考えはない。米ロの枠組みは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを制限した新戦略兵器削減条約(新START)だけで、二〇二一年からの延長が危ぶまれている。

 

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