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【国際】

憎悪犯罪にのぞく大統領の影 米の銃乱射容疑者も「移民は侵略者」

5日、ワシントンで、銃乱射事件について見解を表明するためホワイトハウスに到着したトランプ米大統領=UPI・共同

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 【ワシントン=金杉貴雄】米南部テキサス州で起きた銃乱射事件の死者は五日に二人増え二十二人になり、半日後の中西部オハイオ州の事件と合わせ、死者は三十一人に上った。憎悪犯罪(ヘイトクライム)とみられているテキサス州の容疑者の犯行声明には「(移民の)侵略への対応」と書かれ、移民流入を「侵略」と呼ぶトランプ大統領の発言と重なる。政治リーダーの排外主義的言動が、米社会に与える深刻な影響が指摘されている。

クルシウス容疑者=ロイター・共同

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 「この攻撃はヒスパニック(中南米系)のテキサス侵略への対応だ」

 メキシコとの国境に位置するテキサス州エルパソでの事件で逮捕されたクルシウス容疑者(21)は、インターネット上にこう犯行声明を書き込んでいたことが分かっている。

 一方、トランプ氏は二〇一六年の大統領選当時から、移民の流入を同様に「インベージョン(侵略)」と表現。中南米からの移民が犯罪や麻薬を米社会に持ち込んでいるとして、移民を敵視し危機感をあおるような言動を繰り返してきた。

 就任後もその姿勢は変わらず、今年五月のフロリダ州での集会では、メキシコからの移民集団を「それは侵略だ。どうやって止めればいいのか」と呼び掛け、支持者から「撃て!」と声が上がる場面もあった。先月には非白人の女性下院議員四人に対し「国に帰ったらどうか」などと執拗(しつよう)に攻撃。直後の集会で支持者から「彼女を送り返せ」との連呼が起きた。

 昨秋の中間選挙前、トランプ氏に批判的な関係者に爆発物を送付し、五日に禁固二十年の判決を受けた男は、移民問題で過激発言をするトランプ氏の熱烈な支持者だったという。

 トランプ氏は五日、ホワイトハウスで銃乱射事件に対する声明で「人種差別、偏見、白人至上主義を非難しなければならない」などと語ったが、ワシントン・ポスト紙は「発言には自らへの反省の言葉はなかった。移民や有色人種への憎悪や暴力を唱える人々を支援してきたことには言及しなかった」と論評した。

 オバマ前大統領は同日、銃乱射事件を受け発表した声明で、トランプ氏を念頭に「恐怖や憎悪をあおり、人種差別を当たり前にしてしまう指導者の言葉、移民を含む他者が暮らしを脅かすと示唆する指導者を拒絶すべきだ」と訴えた。

 連邦捜査局(FBI)によると、米国内でのヘイトクライムは、トランプ氏が就任した二〇一七年まで三年連続で増加。一七年は前年比17%増で、六割が人種、民族などへの偏見が動機だった。

◆カール・ルイスさん「大統領は差別主義」

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 【ロサンゼルス=共同】五輪陸上男子で通算9個の金メダルを獲得したカール・ルイス氏(米国)=写真、ゲッティ・共同=が5日、パンアメリカン大会出席のため訪れたペルーの首都リマで会見し、トランプ米大統領を「人種差別主義者であり、女性も蔑視している」と批判した。AP通信が報じた。

 ルイス氏は1951年の第1回パンアメリカン大会に出場した母親の存在を挙げ「強い女性がいなければ私はここに座っていなかった」と主張。サッカーの米国女子代表が男子代表との賃金格差是正を求めて米国連盟を相手に訴訟を起こしている件にも触れ、「われわれ男性は女性に同じ機会を与えることを恐れている」と述べ、女子選手側を支持することを表明した。

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