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【国際】

地中海、新たな火種 ガス田開発巡りトルコ・EU対立

7月上旬、東地中海のキプロス島沖に向かうトルコの掘削船=AP・共同

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 【カイロ=奥田哲平】ロシア製の地対空ミサイル「S400」の導入問題で米国と対立するトルコが、欧州連合(EU)との間で新たな火種を抱えた。EUの反対を押し切り、キプロス沖合の地中海東部で天然ガス田掘削に踏み切ったためだ。キプロスが加盟するEUは制裁措置を決め、低迷するトルコ経済を一段と冷え込ませる恐れがある。

 地中海東部では近年、ガス田の発見が相次ぎ、エジプトやイスラエル、キプロスが掘削や生産を始めた。これに対し、トルコは五月に掘削船を派遣。EUはキプロスの排他的経済水域(EEZ)に当たるとして「違法行為だ」と非難。七月十五日の外相理事会で制裁措置を決めた。

 問題の根源にはキプロス島の南北分裂がある。ギリシャ系とトルコ系住民が住む同島は一九七四年にトルコ軍が一部を占領。島北部の北キプロス・トルコ共和国は、トルコだけが国家承認した。一方でトルコはキプロスを認めず、EEZの44%が自国領と主張する。

 EUがガス田開発を巡って警戒するのは、S400の導入問題と同様に、トルコとロシアの接近が背景にある。ウクライナ問題でロシアと緊張関係にあるEUは、エネルギー面でのロシア依存を低下させたいのが本音。一方、トルコと確執があるエジプトなど関係国は今年一月に「東地中海ガスフォーラム」を設立し、七月二十五日の会合にはペリー米エネルギー長官も参加した。

 トルコは掘削を続ける強硬姿勢を崩しておらず、エルドアン大統領は七月二十日に「トルコ系住民の利益を守るため、トルコ軍は四十五年前のような措置をためらわない」とけん制。これに対し、単一の金融機関としては最大の貸し手となっている欧州投資銀行(EIB)は制裁の一環として、今年末までトルコ政府に関連する新規融資を凍結した。

 トルコは、米国との関係悪化を発端にした昨夏の通貨危機以降、経済低迷がエルドアン氏への批判に転じ、六月下旬に実施された最大都市イスタンブールの市長選では野党系候補が勝利。長期政権を誇るエルドアン氏の支持にも陰りが見える。EUに加え、S400導入に対して米国も経済制裁を科す可能性が残る。

 エジプトの経済評論家ムハンマド・アブドラウーフ氏は「エルドアン氏は国内で問題に直面すると、『外敵』をつくって強いリーダー像を演出するのが得意だ。だが、欧米との対立は経済への悪影響が大きすぎる。いずれ譲歩せざるを得ないだろう」とみる。

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