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【国際】

米中対立 新たな火種に 香港デモ長期化

 【北京=坪井千隼】香港から犯罪容疑者の中国移送を可能とする「逃亡犯条例」改正案に反対する香港デモに対し、中国側が実力行使を含めた本格介入をちらつかせ、威嚇姿勢を強めている。中国政府は香港に隣接する広東省深センに武装警察を配置した。これに対しトランプ米大統領は十三日、ツイッターで中国の動きに言及し、流血事態につながりかねない中国の直接介入をけん制。香港問題が貿易摩擦を抱える米中関係の新たな火種となった形だ。

 中国政府で香港を担当する香港マカオ事務弁公室の報道官は十二日、デモに対して「テロリズムの兆候が出ている」と非難。デモを「テロ行為」と位置付けることで、仮に実力行使の場合でも正統性を主張する狙いとみられる。また共産党機関紙、人民日報も同日、武装警察の装甲車が深センに続々と集まる動画を、短文投稿サイト・微博(ウェイボ)の公式アカウントで公開。デモ参加者らを威嚇するかのような動きを見せている。

 中国が香港への圧力を強める背景には、今年十月に迎える建国七十年を前に、早期に香港問題を沈静化させ、習近平(しゅうきんぺい)指導部の求心力を維持する狙いがある。また来年一月には「核心的利益」と位置付ける台湾で総統選が控えている。独立志向で再選を目指す蔡英文(さいえいぶん)総統は七月に米国を訪問した際、中国が台湾統一の手段と考えている「一国二制度」を批判。中国は台湾総統選を巡る蔡氏の言動を見据え香港で先行実施されている「一国二制度」が維持されている点を対外的にアピールしたい思惑とみられる。

 一方、トランプ氏はツイッターで十三日、「米情報機関によると、中国は香港との境界にむけて部隊を展開している。みんなが冷静になり、安全に配慮すべきだ」と書き込んだ。記者団にも「全ての人、中国にとっても平和的に解決されることを望む」と述べ、中国政府を強くけん制した。

 中国政府は香港問題はあくまで内政問題との立場で、外国勢力の干渉に反発している。中国国防省は人民解放軍の香港駐屯部隊が暴動鎮圧のために出動するのは法律上可能としているが、一九八九年に起きた「天安門事件」のような流血事態に発展すれば、国際社会の激しい非難は必至。現段階で中国の直接介入は可能性が低いとみられるが、貿易摩擦を巡る米中対立が激化する中、香港問題を巡る両国の溝も広がりつつある。

 

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