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【国際】

寄り合いプラユット政権 既に一部離脱 「民政復帰」タイ、なお波乱含み

 【バンコク=北川成史】タイでプラユット首相の政権が発足して16日で1カ月が経過した。2014年のクーデターから今年3月の総選挙を経て、形の上で民政復帰をしたが、軍政の暫定首相だったプラユット氏が続投して軍の影響が強く残る。多党連立で何とか過半数を握ったものの、既に一部が連立を離脱。前途の多難さを露呈している。

 今月、十九党連立のプラユット政権から、一議席を持つタイ文明党が離脱した。定数五〇〇の下院で連立与党の議席は二百五十三に減少。貧困層を基盤とするタクシン元首相派のタイ貢献党など、野党側の二百四十六議席とさらに差が縮まった。他の一部の小政党も離脱を漂わせる背景に、人事面での不満が透ける。

 総選挙の第一党はタイ貢献党で、プラユット氏の支持母体の親軍政党・国民国家の力党は第二党だった。中小政党を取り込み、同氏が首相に選出されたものの、閣僚ポストを割り振り、政権を発足させるのに選挙から約四カ月要した。ポストは連立内の主要六政党で分け、文明党のような小政党には回ってこなかった。

 寄り合い所帯のため、軍政下で制定された憲法の改正に温度差があるなど、政策面でも一枚岩ではない。

 わずかな造反で与野党が逆転する情勢で、十月に始まる二〇二〇年度の予算案が否決されれば、政権は一気に窮地に陥る。

 新政権にはプラユット氏を含め、軍政で閣僚を務めた元陸軍司令官三人が残る。民主化勢力から「軍政の延長」との批判が続く。クーデター前から政治対立の要因だった貧富の格差は解決に遠く、貧困層の不満は根強い。

 タマサート大の水上祐二客員研究員は「軍政期のように超法規的措置は使えず、与党内調整や議会運営で苦労し、政権が短期間で崩壊する可能性は高い。行き詰まり打破のため、再び軍のクーデターもあり得る」と予測する。クーデターから五年。タイの「民政復帰」の先行きは波乱含みだ。

<2014年クーデター> 貧困層に支えられたタクシン元首相派と富裕層を中心とする反タクシン派の対立激化に伴い、2014年5月、プラユット陸軍司令官(当時)が秩序回復を理由に主導した。プラユット氏は暫定首相に就任。民政移管に向けた総選挙は度重なる先送りの末、今年3月24日に実施された。

 

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