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【国際】

香港デモに「変化」 平和、理性、非暴力 1カ月ぶり衝突なし

18日、香港島中心部で行われたデモ。警官隊との衝突もなく終わった=浅井正智撮影

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 【香港=浅井正智】逃亡犯条例の改正案をめぐり、十八日に香港島中心部で行われた百七十万人(主催者発表)規模のデモは、警官隊との衝突もなく、おおむね平和裏に終了した。前日十七日のデモでも警官隊は催涙弾を使用しておらず、週末デモで衝突が起きなかったのはこの一カ月で初めて。抗議活動は一般市民も巻き込んで一部で過激化しているが、ここに来て過激路線からの軌道修正を模索する動きが出てきた。

 「百七十万人が『和理非』の初心忘れず」

 十九日付の香港紙・リンゴ日報は、こんな見出しで前日の大規模デモを報じた。「和理非」とは平和、理性、非暴力のこと。デモを主催した民主派団体は、事前に「冷静な自制」を参加者に呼び掛けていた。

 それが功を奏した形で、団体幹部の岑子傑(しんしけつ)氏は「平和的、理性的で非暴力の行動を通じた要求に政府が回答を出さなければ、一部の人がさらに過激化する可能性がある」と政府に警告した。

 デモ参加者はこの二カ月、改正案の完全撤回や警察による過剰な実力行使の責任追及を求めてきたが、政府は一切応じていない。

 政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は、警官と衝突を繰り返す一部デモ隊を「暴徒」と非難し、一切の譲歩を拒んできた。過激行動を自制し、デモが穏健路線に回帰するなら、政府が「ゼロ回答」を続ける根拠は崩れる。民主派団体が「冷静な自制」を呼び掛けたのはそのためだ。

 一方、中国紙・環球時報も十九日付の社説で「香港で初めての暴力退潮」と、過激行為が抑制されたとの認識を示した。その理由について「武装警察が(香港に近い広東省)深センに集結し訓練している」と指摘。デモ隊が自制したのではなく、あくまで中国の圧力で抗議活動が萎縮したと主張する。

 ただ今後の展開は予断を許さない。この週末は非暴力方針が実効性を挙げたが、民主派団体は抗議活動全体を主導しているわけではない。リーダー不在の活動の中で、不測の事態が起こる恐れは否定できない。

 十八日のデモに参加していた六十代の男性年金生活者は「若者の衝動的な行動がなければ社会は前進しない」と主張。政府に暴力で対抗してもいいという空気もあり、過激路線が息を吹き返す素地は残っている。

 

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