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【国際】

マクロン大統領を外せ 温暖化対策怠慢と抗議 写真撤去

 フランス全土で二月から七月末にかけ、市役所に掲げられたマクロン大統領の写真百二十五枚が盗まれた。犯人は環境団体のメンバーら。仏政府が設定した年間の二酸化炭素(CO2)排出量を、今年はわずか百二十五日で超えたことへの抗議だ。仏南西部ビアリッツで二十四日に始まる先進七カ国(G7)首脳会議に合わせて、団体は集めた写真を披露し、気候変動対策を迫る。 (パリ・竹田佳彦)

 「環境問題で世界的なリーダーを自任するマクロン氏の国際的な発言は壮大かつ素晴らしいが、実際の政策では何一つやっていない」。運動を呼びかけた環境団体「ANV−COP21」は五月二十三日、政権の姿勢を厳しく批判し、市役所から肖像写真を取り外して集めると表明した。

 フランスでは十九世紀以降、慣例で市役所などの大広間や会議室に大統領の肖像写真を掲げている。G7一カ月前の七月二十四日に仏南西部エスプレット村役場で百二十五枚目となる写真を外したメンバーは、代わりに「気候、社会正義、マクロンはどこ?」と書いた紙を掲示した。捜査当局は窃盗容疑などで、全土の百三十人以上を聴取した。

 団体が言う「壮大かつ素晴らしい」発言とは、温室効果ガスの排出規制などだ。マクロン氏はこれまで、気候変動対策が「喫緊の課題」「社会的な正義の問題」などと強調。欧州連合(EU)が温室効果ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロとするよう、加盟各国に働き掛けてきた。今年六月のEU首脳会議で加盟国が合意した長期計画では、目標期限は明記されなかったが、将来的な達成を盛り込むことに成功し、旗振り役を印象づけた。

 首都の名前を冠する地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、オランド前政権時に採択された。仏政府にとっていわば「レガシー(遺産)」だ。国際交渉で主導権を握るための貴重な政治的資源でもある。今回のG7でも気候変動など環境対策を主要な議題にする考えを示している。

 そうした中でマクロン氏が“言行不一致”と告発する環境団体の行動は、仏政府の意気込みに冷や水を浴びせる格好となった。二十四日に始まるG7にはパリ協定から離脱した米国のトランプ大統領も出席予定で、どこまで踏み込んだ議論をできるかは未知数だ。

 パリでは今年、気温が史上最高の四二・六度を記録した。各地で渇水による取水制限が相次ぐ。海水面の上昇による海岸線の浸食が進む地域もあり、気候変動問題は国民的な関心事になっている。団体は二十五日、G7開催地ビアリッツの隣町でデモを実施予定。「現実を覆い隠す美辞麗句にうんざりならば参加を」と呼びかけている。

 

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