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【国際】

ロシア開発 船舶原発が出港 産業用 安全性に懸念も

23日、ロシア北部ムルマンスクで出港を待つ船舶型原発「アカデミク・ロモノソフ」=共同

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 【ムルマンスク=共同】ロシアが開発した洋上に浮かび発電する船舶型原発「アカデミク・ロモノソフ」が二十三日、ロシア北部ムルマンスク港を出港した。北極海航路を経由して九月下旬に同国北部チュコト自治管区ペベク港に到着し、年末にも港に係留した状態で地元向けの電力・熱供給を始める予定。産業用の船舶型原発の開発、稼働は世界で初めてで、安全性に懸念も出ている。

 国営原子力企業ロスアトムは、船舶型原発の利点として可動性の高さを挙げている。今後、発電所の適地に乏しい島しょ国や、石油などの海洋資源開発国に輸出する展望を描いており、東南アジアやアフリカに関心を示す国があるという。

 一方、環境への不安から環境保護団体グリーンピースは「海のチェルノブイリ」と批判。ロスアトムは「原子力砕氷船の原子炉技術を応用し、安全性に問題はない」と反論している。

 アカデミク・ロモノソフは長さ百四十四メートル、幅三十メートルの自力航行できない平底船の上に小型原子炉二基が設置され、移動はタグボートのえい航で行う。七万キロワットの電気出力と毎時五十ギガカロリーの熱供給能力があり、十万〜二十万人の生活を支えられる。

 人口約四千人のペベクでは、四十五年間稼働した小型原発と七十二年間稼働した熱供給発電所が退役する代わりに、アカデミク・ロモノソフが住民や鉱物開発企業に電力を供給する。

22日、報道陣に公開されたアカデミク・ロモノソフの内部=共同

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 昨年七〜十月にムルマンスクで原子炉に核燃料を装填(そうてん)済みで、耐用年数は四十年を想定。燃料の低濃縮ウランの補給が三年に一度必要で、使用済み核燃料は船内に貯蔵されるために十二年に一度は船外に搬出する作業が必要になるという。

 ロスアトムは、船体には氷山との衝突や、高さ七メートルの波、風速五五メートルの風に耐えられるなど十分な強度があると説明。同社は、さらに小型で電気出力が十万キロワットと、より強力な船舶型原発第二弾の開発に既に着手している。同社によると中国でも船舶型原発の開発が進んでいるという。

<アカデミク・ロモノソフ> ロシアが世界で初めて産業用として開発した水上に浮かぶ可動式の船舶型原発。18世紀のロシア人科学者ロモノソフにちなみ命名された。へき地や海上の石油・ガスなど資源開発施設への電気供給を視野に2007年に建造開始。原子力砕氷船の原子炉技術を活用し、ロシア技術監督局から今年6月に稼働許可を受けた。発電開始後は約130人で運転業務を行う。船内にはプールやサウナ、ジムなども備える。 (共同)

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