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【国際】

ロヒンギャ大量避難から2年 帰還条件整わず、希望者なし

23日、バングラデシュ南東部コックスバザールにあるロヒンギャの難民キャンプ=共同

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 ミャンマーで迫害されたイスラム教徒少数民族ロヒンギャの大量流出が始まってから二十五日で二年がたった。隣国バングラデシュに逃れた難民は七十万人以上。両国政府は二十二日から難民帰還を開始する予定だったが、希望者は現れていない。ロヒンギャへの市民権付与や迫害の責任追及など、根本的な問題解決に向けた取り組み不足が浮き彫りになっている。 (バンコク支局・北川成史)

 二十五日、バングラデシュ南東部コックスバザールの難民キャンプで大規模なデモが実施され、ロヒンギャたちが迫害の責任追及を求めて声を上げた。二十二日から一日当たり三百人を帰還させる同国とミャンマー両政府の計画はつまずき、先が見えない。

 「これで三回目だ」。ロヒンギャの活動家ネー・サン・ルイン氏は見切り発車に憤る。両国は昨年一月と十一月にも帰還を始めようとしたが、希望者が現れないなどとして延期された。

 相次ぐ失敗は、ミャンマーでの安全と権利の保障に対する難民の不安を解消できていない現状を表す。

 国連人権理事会の独立調査団は二十二日、ロヒンギャ女性への性暴力に関する報告書を発表。ミャンマー国軍兵士らからレイプ被害に遭った女性は数百人に上り、「ジェノサイド(民族大量虐殺)の意図を示す」と非難した。だが殺人やレイプの責任が追及された例は皆無に近い。

 無国籍状態にあるロヒンギャの権利保障面では、ミャンマー政府の代表団が七月、難民キャンプを訪れ、条件が合えば「帰化国民」になれるとの説明をした。

 ただ、先住民族の一つと主張するロヒンギャと開きは大きい。ネー・サン・ルイン氏は「一民族として市民権を認めない限り、帰還は進まない」と断言する。

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 迫害を巡って先月、人道犯罪を処罰する国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官が捜査開始を申請。米国もミャンマー国軍の最高司令官ら幹部四人に入国を禁止する制裁措置を取った。

 状況の改善がない中での帰還計画に、国際社会の圧力を和らげたいミャンマー政府の思惑が透ける。

 米イリノイ州立大のアリ・リアズ特別教授(東南アジア政治)は「キャンプ周辺住民の同情は薄れ、難民は絶望感の中で人身売買の餌食になっている」と指摘。教育や健康面を含め、問題長期化の悪影響が膨らむ中、ミャンマー政府の無策に疑問を投げ掛けている。

<ロヒンギャ> 仏教徒が9割のミャンマーで、西部ラカイン州に住むイスラム教徒少数民族。人口は州全体の3分の1の約100万人とされる。同国の法律上、先住民族とされず、多くはバングラデシュなどからの不法移民扱いで国籍を持たない。2017年8月25日に同州でロヒンギャ武装勢力と治安部隊が衝突後、殺人やレイプなど深刻な迫害を受け、70万人以上がバングラデシュに逃れた。

 

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