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【国際】

無人機の脅威 石油王国打撃 サウジ施設攻撃相次ぐ

14日、サウジアラビア東部で、サウジアラムコの石油施設で上がる煙=ソーシャルメディアより、ロイター・共同

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 【チュニス=奥田哲平】サウジアラビア東部の石油関連施設が受けた14日の攻撃は、日本を含めたエネルギー供給源を標的に、サウジに打撃を与える狙いがある。無人機という新たな脅威に対し、世界最大の石油輸出国における防衛体制の弱点も浮き彫りになった。

 犯行声明を出したイエメンの反政府武装組織フーシ派はイランから軍事支援を受けているとされる。五月にはサウジを横断する油送管、八月には東部シェイバー油田を無人機で攻撃していた。

 今回の攻撃についてポンペオ米国務長官はイランの仕業と主張したが、根拠は明らかにしていない。イランやイラク国内からの攻撃という見方もある。ただ、仮にフーシ派の主張通りなら、保有する無人機が千キロ以上離れた標的に到達するなど性能が格段に向上していることを意味する。

 サウジは米国製パトリオット(PAC3)ミサイルによる防衛体制を築いてきたが、内戦発生から百五十回以上の無人機攻撃を受けている。軍事評論家タラート・ムサレム氏(エジプト)は「膨大な資金を投じたミサイル防衛が、安価で小さな無人機に対応できない穴をさらした。これはサウジだけの問題ではない」と指摘する。全長千二百キロの油送管や石油関連施設を守るのは容易ではなく、サウジの危機感は強い。

 一方、攻撃は米政権がイランとの対話路線に傾くタイミングで発生した。AFP通信によると、米国務省高官は今月五日、現政権としては初めて、フーシ派代表者と内戦終結に向けて協議したと明かした。トランプ大統領は十日に対イラン敵視派の急先鋒(せんぽう)、ボルトン大統領補佐官を解任した。

 トランプ氏は今月下旬の国連総会期間中に、イランのロウハニ大統領との首脳会談について「無条件で会う」と前のめりな姿勢が鮮明だ。しかし、ロウハニ師は十一日に「制裁を科されたまま交渉するのは無意味だ」と述べ、あくまでも制裁解除が先との考えを強調。裏を返せば、制裁が解除されれば米国との対話に応じる余地を残している。

 イランの最高指導者ハメネイ師は「米国との対話は毒」と一貫して否定的だ。同師に忠誠を誓う保守強硬派の牙城である精鋭軍事組織「革命防衛隊」が、融和ムードに水を差そうとした可能性もある。

 ペルシャ湾周辺では六月に起きたタンカー攻撃などを巡っても、米国がイラン犯行説を主張し、両国が対立を深める事態に。展開次第では今回も軍事的緊張が高まる恐れがある。

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