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【国際】

香港デモ100日 見えぬ収束 市民疲弊

15日午後、香港の目抜き通りに立ち並ぶ店舗はデモ激化にそなえてシャッターが閉められた=坪井千隼撮影

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 【香港=坪井千隼】犯罪容疑者の中国への移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案を発端にした香港の抗議行動は、最初の百万人規模とされるデモ(六月九日)から百日が過ぎた。改正案は正式撤回されることになったが、焦点は警察の暴力行為の調査や普通選挙実施などに移っており、収束の気配はない。デモの長期化は香港経済に打撃を与えており、市民の間にも疲れの色が濃くなってきた。

 「当初はデモを応援していたが、いつまでこの状況が続くのか不安だ。このままだと店がつぶれてしまう」。デモ行進が行われる香港島の目抜き通りで飲食店を営む男性(52)は、ため息をついた。デモが本格化してから売り上げは半分以下に落ちたという。

 中心街でもデモがある週末は多くの店がシャッターを閉める。バスや地下鉄が使えなくなる上、デモ隊と警察の衝突を恐れて一般客が寄り付かなくなるからだ。

 香港メディアによると、八月に香港を訪れた観光客は前年同期比で四割減少。デモ隊が空港を占拠し多くの便が欠航したことも響いた。

 だが市民の怒りは、過激な行動に走る若者よりも香港政府や警察に向かっている。香港紙が今月実施した世論調査では、八割近くが政府の対応を「不十分だ」と回答。デモ隊と警察との衝突について七割が「警察の暴力が過剰」と答えた。何度か穏健なデモに参加してきた会社員の黄(こう)さん(38)は「平和なやり方が結局政府に通じなかった。若者が過激な行動に走るのも仕方がない」と言い切る。

 デモ隊は改正案撤回のほか、警察の暴力行為を調査する独立委員会の設置や普通選挙の導入など「五大要求」を掲げている。香港政府は改正案撤回について今月四日に正式表明して要求を受け入れたものの、残る四要求は拒んでいる。特に民主化にからむ要求は、中国政府が認める見込みはほとんどない。

 二〇〇一年まで香港政府ナンバー2の政務官を務めた陳方安生(ちんほうあんせい)(英語名アンソン・チャン)さん(79)は「暴力で物事は解決しない。若者たちは冷静になってほしい。だが、まず先に一歩を踏み出すべきなのは、政府の方だ」と述べ、香港政府がデモ隊の要求に応じるべきだと主張する。

 その上で中国政府に対し「〓小平が主導した一国二制度は、香港の自由や人権を保障するものだ。それが国際金融センターとしての香港の繁栄につながり、中国の経済成長にも貢献してきた」と強調。「中国政府は原点(一国二制度)に立ち返り、香港の高度な自治を守るべきだ」と訴えた。

※〓は、登におおざと

 

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