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【国際】

中国、世界最大の加速器 22年着工へ 先端物理でも主導権狙い

中国が計画している世界最大の加速器「CEPC」の完成イメージ図=王貽芳氏提供

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 【北京=坪井千隼】円周百キロに及ぶ世界最大の加速器の建設が中国で計画され、早ければ二〇二二年の着工を目指していることが分かった。計画を主導する中国科学院高能物理研究所の王貽芳(おういほう)所長が本紙の取材に応じ、「三〇年ごろの完成が目標だ」と明らかにした。日本でも次世代型の大型加速器の建設が検討されているが資金面で難航しており、先端物理学研究の分野で中国に先を越される可能性が出てきた。 

 米中ハイテク戦争で中国の科学技術への注目が高まる中、先端物理学の分野でも中国が世界の主導権をとろうとする勢いだ。

 中国で計画が進む加速器は「CEPC」。東京二十三区が収まる大きさのドーナツ型トンネルを地下に掘って建設する。トンネル内で素粒子を回転させ光に近い速度まで加速させ、衝突させる。その様子を観測し、宇宙誕生の謎や物質の成り立ちに迫る。

 欧州にある世界最大の加速器「LHC」の次世代型となる。規模は円周二十七キロのLHCの四倍で、出力も大幅に上がる。完成後はLHCのように世界中から数千人の研究者が集まり、基礎研究だけでなく新素材や医療などハイテク産業育成に結び付く技術研究が進むとみられる。

 王氏によるとCEPCは既に基礎的な設計を完了し、建設候補地の河北省秦皇島で地質調査が進んでいる。湖南省や吉林省なども候補地に挙がっており、建設費は三百五十億元(約五千億円)を見込む。

 次世代加速器としては、宮城・岩手県境に建設が検討されている加速器「国際リニアコライダー(ILC)」が先行していた。だが総額八千億円ともいわれる建設費がネックとなり計画は足踏み状態だ。CEPCと原理や目的は類似しており、中国の計画が先行すれば日本の計画にも影響が及ぶとみられる。

<加速器> 陽子や電子などの粒子を電気の力で加速させる装置。非常に速い速度まで加速した粒子同士を激しく衝突させることで、物質の基本粒子である素粒子などを調べる。加速器の出力が上がるたびに、新たな素粒子が発見されたり、宇宙誕生当初の様子がより詳しく分かるようになるなど、画期的な成果を上げてきた。さらに出力を上げるため、近年ではより大型の施設が造られる傾向がある。基礎科学だけでなく医療や新素材開発などでも応用されている。

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