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【国際】

トルコ軍、シリア侵攻開始 クルド人勢力一掃狙う

9日、トルコ南部でシリア国境に向かうトルコ軍の装甲車=ゲッティ・共同

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 【カイロ=奥田哲平】トルコのエルドアン大統領は九日、敵対するクルド人勢力を排除するため、隣接するシリア北東部への軍事作戦を始めたと発表した。トランプ米大統領が七日に駐留米軍を撤収し、作戦を事実上黙認したのを受けて踏み切った。現地を実効支配するクルド系民兵組織は徹底抗戦の構えで、シリア内戦の混乱が深まるのは確実だ。

 エルドアン氏はツイッターで「南部国境から『テロの回廊』を消滅し、地域に平和と平穏を取り戻す」と宣言。ロイター通信によると、トルコ軍機による空爆や地上からの迫撃砲で、クルド系民兵組織「人民防衛部隊」(YPG)の拠点を攻撃しているもようだ。

 YPGは「強く反撃している」とする一方、トルコ国境の町で居住地域が空爆を受けて「住民がパニックになっている」と非難。被害の程度は不明だ。衛星放送アルアラビーヤは、国境周辺の町から住民が大きな荷物を抱え、一斉に避難を始める様子を伝えた。

 トルコは、「テロ組織」とみなすYPGを追放させた後、シリア領内に約三十キロの幅で非武装の安全地帯を設置し、二百万人のシリア難民を帰還させる計画。トルコ政府高官は安全地帯で「住民サービスを提供する」と述べており、武力行使による事実上の併合に当たるとして国際社会の批判が高まりそうだ。

 一方、作戦開始に先立ち、シリア外務省は九日、「シリアの支配領域を拡大したい野心の表れ。あらゆる手段で侵略に立ち向かう決意」とけん制。クルド人勢力と共闘する可能性もあるとしている。YPGは過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員も拘束しており、混乱が拡大すれば収容所の管理に影響が出る可能性もある。

 トルコの軍事侵攻を巡っては、トランプ氏がエルドアン氏との電話会談を受けて米軍撤収を突如表明し、お墨付きを与えた。米国はIS掃討作戦で連携してきたクルド人勢力を見捨てる形になり、国防総省などは「トルコの軍事作戦を認めたわけではない」と釈明に追われた。

 トランプ氏は九日もツイッターで「中東で八兆ドルを費やして戦闘と警察活動を行ってきた。何千人もの偉大な兵士が死傷した。中東に行くのは史上最悪の決断。愚かで終わりのない戦いは終わった」と書き込み、自らの決断を正当化した。

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