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【国際】

シリア北部、緊迫 政権軍展開、クルドと共闘

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 【ワシントン=金杉貴雄、カイロ=奥田哲平】シリアのアサド政権軍は十四日、トルコ軍の侵攻を受けるクルド人勢力との合意に基づき、シリア北東部に部隊を展開した。トルコのエルドアン大統領は軍事作戦を継続する構えを見せ、緊迫度が増している。一方、トランプ米大統領は同日、対トルコ制裁を打ち出し、侵攻の即時停止を求めた。

 政権軍は十四日、国境沿いの町マンビジュに進軍したほか、国境から内陸三十キロを東西に走る幹線道路上の複数の場所にも部隊を置いた。今のところトルコ軍との衝突は起きていない。トルコ軍の攻撃は十四日も続き、シリア人権監視団(ロンドン)によると、民間人の死者は六十九人、避難民は二十五万人に達した。

 シリア北部は内戦悪化を受けて二〇一二年ごろに政権軍が撤退し、米国の支援を受けたクルド人勢力が実効支配していた。だが、米軍の全面撤収を機に、クルド側はロシアを後ろ盾とする政権軍の進駐受け入れに転換。シリア内戦の構図が大きく変わるのは確実だ。

 両者を仲介したのはロシアだ。プーチン大統領は十四日、十二年ぶりにサウジアラビアを訪問し、サルマン国王と会談。米国が中東への関与を低下させる中で存在感を示した。カイロ・アメリカン大のサイド・サデク教授は「政権軍はロシアの保護と指示の下で動いており、トルコ軍と衝突することはない。政権は戦わずして北部の統治を取り戻しトルコはクルド人勢力を排除できるようロシアが調整に動くだろう」と指摘した。

 一方、米国は十四日、トルコの三閣僚らを対象とした制裁を発動した。さらにトルコからの鉄鋼の輸入関税を25%から50%に倍増させ、貿易協定の交渉も中止すると発表。近くペンス副大統領らをトルコに派遣し、事態収拾に向けた交渉に当たらせる。

 トランプ氏の米軍撤収方針がトルコの侵攻を容認した形となり、内外の批判に対応せざるを得ない状況となった。しかし、今回の制裁についても、民主党のペロシ下院議長らからはトルコを押しとどめるには「不十分だ」との声が早くも上がっている。

 トランプ氏は十四日のツイッターで「われわれがなぜシリアのために戦わなければならないのか。クルド人勢力を守るシリアを支援したいのなら、ロシアでも中国でもナポレオンでも誰でもいい」と強調した。

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